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人工次元フォトニクスの実証 ~新しい光物理のオンチップ搭載~

【本学研究者情報】

〇材料科学高等研究所 准教授 小澤知己
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 光集積プラットフォームとして世界的に普及しつつあるシリコンフォトニクス技術を用いて、トポロジカルフォトニクス注1)に関連する光学現象の一つ「周波数人工次元」の観測に初めて成功した。
  • ノーベル賞を受賞したトポロジカル絶縁体注2)の概念を光科学に拡張したトポロジカルフォトニクスが物理学的な研究から使える技術に発展する可能性がある。

【概要】

2016年、トポロジカル絶縁体の新しい電気伝導物理の開拓についての研究がノーベル物理学賞を受賞しましたが、この概念は周期的な構造の中を伝わる光にも当てはまり、さらには光の周波数列などの振る舞いにも適用できる可能性があります。この度、横浜国立大学 Armandas Balčytis(現在、ロイヤルメルボルン工科大学)、馬場俊彦教授、東北大学 小澤知己准教授、慶應義塾大学 太田泰友准教授、および東京大学 岩本敏教授は「人工次元」と呼ばれるこのような周波数列のユニークな光学現象を、世界標準的な光集積プラットフォーム「シリコンフォトニクス」を用いて初めて実証することに成功しました。これは人工次元を用いたトポロジカル現象実現への第一歩となり、トポロジカルフォトニクスが単なる物理学的な研究から、様々な光部品に応用される新しい要素となり得ることを示唆しています。

本研究成果はScience の姉妹紙である Science Advances に1月28日(現地時間)に掲載予定されました。

人工次元フォトニクス素子の構造(上)とこれによって形成された周波数列(下)。
挿入図は変調器に掛ける電圧信号の周波数と位相を調整することで、磁場を掛けたのと似た効果が表れている様子を表す。

【用語解説】

注1)トポロジカルフォトニクス 
光の伝搬が表面のみで起こる構造体や現象を扱う分野です。トポロジカル絶縁体と同様に、構造が不完全でも光の伝搬が安定し、従来は困難だった光集積回路が可能になると期待されています。

注2)トポロジカル絶縁体
電気を通さない絶縁体なのに、表面だけは電気が流れるという、従来の絶縁体、半導体,金属のどれにも当てはまらない、新しい種類の物質です。形のつながり具合を表す数学「トポロジー」によって現象が説明できることから、このような名前で呼ばれています。従来の物質よりも電子の振る舞いが安定することから、量子コンピュータの基本材料になるかもしれないという期待があります。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学 材料科学高等研究所 広報戦略室
Tel:022-217-6146
Fax:022-217-5129
E-mail:aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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