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新型コロナウイルスワクチンによる抗体産生 〜東北メディカル・メガバンク機構コホート調査約3千人の調査より〜

【本学研究者情報】

〇東北メディカル・メガバンク機構 副機構長・コホート事業部長・教授 栗山進一
東北メディカル・メガバンク機構ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 東北メディカル・メガバンク機構が宮城県で実施中の長期健康調査*1において2021年7月から11月に、約3千人に対して新型コロナウイルスの抗体*2検査を実施しました。
  • 新型コロナウイルスワクチンを2回接種した翌月以降に実施された抗体検査では、ほぼ全員が抗体陽性でした。
  • ワクチン接種回数と接種後の時間経過と抗体量との関係を調べたところ、2回目接種同月で最大値を示し、その後減少傾向がみられ、3ヶ月経過あたりで、抗体量はおよそ半分になっていました。また、性別、年齢、飲酒、喫煙が抗体量の多寡と関連していました。

【概要】

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、2013年より長期健康調査を開始し、2021年7月より3回目の追跡調査(詳細三次調査*3)を実施しています。この調査の項目の一つとして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査を実施しています。

今回、詳細三次調査開始から11月までの調査結果を解析したところ、新型コロナウイルスワクチンを2回接種することにより、十分に抗体量が上昇することが示唆されました。ワクチン接種から一定期間が過ぎると、抗体陽性率*4は維持されているものの、抗体量が減少傾向にあり、2回目接種から3ヶ月経過あたりで、抗体量はおよそ半分になっていました。また、飲酒、喫煙、加齢、性別が抗体量に関連していました。

この調査で使用した検査では、抗体量の増加がワクチンによるものか感染によるものかはわかりません。しかし、ワクチンの接種回数と抗体量との関係を、数千人規模の一般住民に対して調べた日本で唯一の調査であり、今後の新型コロナウイルス対策の立案に貢献するものと考えます。今後も長期にわたり調査を行い、結果を詳細に解析することで、ワクチンの効果や持続性についてさらに明らかにできると考えます。

図1:ワクチン接種と採血時期別抗体量の分布

【用語解説】

*1 長期健康調査:2013年から東北メディカル・メガバンク計画により実施されている健康調査。東日本大震災の心身への影響を把握・分析し、地域の保健・医療の向上につなげることを目指している。一般住民を対象とした地域住民コホート調査と家系情報付きの三世代コホート調査がある。調査全体で15万人以上の方が参加している。

*2 抗体:体内に入ってきた病原体などの異物を排除するために働く、免疫グロブリンというタンパク質のこと。

*3 詳細三次調査:2021年7月より開始した長期健康調査の3回目の詳しい調査。東北大学が実施する調査では主に宮城県に在住の、地域住民コホート調査5万人、三世代コホート調査7万人が対象となっている。
参考:https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/45067

*4 抗体陽性率:新型コロナワクチン投与による新型コロナウイルスに対する抗体の保有者と非保有者の比率のこと。今回の調査では暫定的に「抗体量≧0.8 U/ml」を陽性としており、ここで言う抗体保有者が感染しないということではない。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究内容に関すること>
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
コホート事業部長
栗山 進一(くりやま しんいち)
電話番号:022-717-8104

<報道担当>
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
広報・企画部門
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファクス:022-717-7923
Eメール:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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