本文へ
ここから本文です

DNA中で機能する新たな人工塩基対の創製に成功 DNAの構成要素を増やす新たな設計概念を提案

【本学研究者情報】

〇多元物質科学研究所 教授 永次 史
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 自然界のDNAに含まれるA, G, T, Cとは異なる4種類の人工的な核酸塩基を開発し、これらを組み込んだ二重らせんDNAの形成に成功した。
  • 新たに開発した人工塩基対は、二重らせんDNAの外側で互いを認識し、選択的かつ安定な塩基対を組むことを明らかにした。
  • これらの人工塩基対を連続して組み込んだDNAは、非常に安定な二重らせん構造を形成できる。
  • DNAの高機能化に基づくバイオテクノロジー研究への応用が期待される。

【概要】

DNAは、4種類の核酸塩基(A, G, T, C)で構成される生体高分子であり、自然界では遺伝情報を保存する生命の設計図としての役割を担っています。近年は、DNAの正確な塩基対形成(A-T, G-C)を利用してナノ構造体を構築するなど、様々なバイオテクノロジーに応用されています。今回、東北大学 多元物質科学研究所の岡村秀紀助教と永次 史教授(大学院理学研究科化学専攻 兼任)は、東京工業大学 生命理工学院の正木 慶昭助教と清尾 康志教授らと共同で、自然界のDNAに含まれるA, G, T, Cとは異なる構造をもつ4種類の人工的な核酸塩基の開発に成功しました。新たに開発した人工核酸塩基は、A-T、G-C塩基対とは異なる様式でユニークな塩基対を形成し、安定な二重らせんDNA構造を形成します。しかも、これらの人工塩基対を連続して組み込んだDNAは、予想外の高い安定性を持つ二重らせん構造を形成する性質があることも見出しました。今回開発した人工塩基対を用いることで、従来にはない高機能性DNA創製が可能であり、バイオテクノロジーや合成生物学研究を加速すると期待されます。

本研究成果は、2022年3月2日(英国時間)に国際科学雑誌「Nucleic Acids Research」のオンライン速報版で公開されました(DOI: 10.1093/nar/gkac140)。

図1(a)DNAの二重らせん中における天然型塩基対の構造。(b)人口塩基対の概念図。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学多元物質科学研究所
担当:教授 永次 史(ながつぎ ふみ)
電話:022-217-5633
E-mail:fumi.nagatsugi.b8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
電話:022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ