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2021年ハイチ地震:市民との協働で地震の詳細解明に成功

【本学研究者情報】

〇災害科学国際研究所 災害評価・低減究部門
陸域地震学・火山学
究分野 准教授 福島洋
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 2021年8月、ハイチ共和国で犠牲者2,500名以上の地震が発生した。
  • 住民宅に設置された「市民地震計」のデータを用いた解析システムによって、発生した地震の特徴や余震活動の詳細が迅速に明らかとなった。
  • 市民地震観測網が国の地震観測の不足を補い、地震の迅速な評価や地震ハザードマップの改良等につながる知見の獲得に重要な役割を果たせることが示された。

【概要】

2021年8月、ハイチ共和国でマグニチュード(M)7.2の地震が発生し、犠牲者2,500名以上の大きな被害が出ました。その11年前の2010年には、犠牲者数10万人以上の激甚な被害が発生していました。ハイチでは、2019年より、市民の自宅に地震計を設置し、それらのデータを地震活動の把握に活かす試みが行われていました。

今回、東北大学災害科学国際研究所の福島洋准教授が参加した国際研究チームは、これらの「市民地震計」のデータを使った解析を行い、2021年の地震の震源域は2010年の震源域と離れていることや、余震が二つの領域に集中して起こっていたことなどを迅速に明らかにしました。さらには、それらの結果を衛星画像データを用いた解析結果と比較したところ、余震の集中域は断層の主破壊域と重なっていることが確認され、統合的な分析から、今回の地震は北側の地盤が南側の地盤の上に乗り上げる形の断層のずれを伴ったことが示されました。これは、ハイチ南西部の地震ハザードマップおよび耐震設計基準の刷新につながる成果です。本研究により、公的な観測システムが不十分な途上国であっても、市民参加型の地震観測がその不足を補い、緊急対応に不可欠な地震発生状況の把握や地震リスク軽減に資する知見の獲得に重要な役割を果たせることが示されました。

本研究成果は、2022年3月10日にScience誌に掲載されました。

図2 2022年2月24日時点で運用中のラズベリーシェイク市民地震観測点分布。黄色の楕円領域は、2010年1月12日および2021年8月14日の地震により被害を受けた地域。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学災害科学国際研究所
准教授 福島 洋 
TEL: 022-752-2069
Eメール: fukushima*irides.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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