本文へ
ここから本文です

黒毛和種の肥育期における生理・生体情報の有効活用 -高品質かつ持続的な牛肉生産への応用-

【本学研究者情報】

大学院農学研究科 教授 盧尚建
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 日本固有の肉用種である黒毛和種の肥育期間中(前期、中期、後期)から得られた生理・生体情報を解析し、高品質かつ持続的な牛肉生産に必要な生理的な特徴を明らかにした。
  • 肥育期間の経過に伴い摂取エネルギーが増加することで、血液中のインスリンと遊離脂肪酸濃度が高品質牛肉生産に関連する肥育期の生理状態を説明する重要な因子であることが明らかになった。
  • 黒毛和種における高品質かつ持続的な牛肉生産に必要な精密飼養管理技術への利用が期待できる。

【概要】

黒毛和種は、日本固有の肉用種であり、国内で飼養されている和牛の多くが黒毛和種です。黒毛和種は、脂肪交雑(霜降り)の評価が高く、高品質牛肉として世界的に注目されており、輸出量が年々増加しています。黒毛和種を牛肉として出荷するには約30カ月の飼育期間が必要で、生後8~10カ月まで子牛を哺育・育成し、さらに約20カ月の肥育期を経てようやく出荷できます。

東北大学大学院農学研究科の盧尚建教授のグループは、兵庫県立農林水産技術総合センターと共同研究で、黒毛和種の肥育前期、中期、後期にて得られる血中代謝産物、ホルモン、アミノ酸プロファイル、ルーメン液性状*1および肝臓トランスクリプトーム解析*2などの生理的な代謝情報と発育・産肉成績との関連性を解明しました。これにより、高品質牛肉生産のために必要な代謝状態を、各肥育期間で評価することが可能となりました。

本研究成果は、2022年3月7日に国際科学誌Scientific Reportsオンライン版で掲載されました。

図1.黒毛和種の肥育前期から後期にかけてインスリンと遊離脂肪酸の増加が代謝の調節に関わっている可能性(DMI: Dry matter intake, NEFA: non-esterified fatty acid, BHBA: β-hydroxybutyric acid)

【用語解説】

*1ルーメン液:ウシなどの反芻家畜の第1胃をルーメンと呼び、第1胃内のルーメン微生物などで発酵された内容物。

*2トランスクリプトーム解析:細胞、組織などにある遺伝子全体をトランスクリプトームと呼び、その遺伝子発現量を網羅的に解析すること。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科 動物生理科学分野
教授 盧 尚建
TEL: 022-757-4122
E-mail: sanggun.roh*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えて下さい。)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科 総務係
TEL: 022-757-4005
E-mail: agr-syom*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えて下さい。)

sdgs_logo

sdgs02

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ