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間葉系幹細胞の幹細胞性を向上させる新規培養法を開発 ―間葉系幹細胞塊を神経堤細胞様にすることで骨再生を効率的にー

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 教授 江草宏
〇病院 講師 新部邦透
 研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 幹細胞性の低下した間葉系幹細胞※1の新たな振盪浮遊培養法 (しんとうふゆうばいようほう)※2を開発
  • 振盪浮遊培養に、神経の元となる神経幹細胞用培地を応用することで、神経堤細胞様の間葉系幹細胞凝集体(スフェロイド)を作製することに成功
  • 本スフェロイドが幹細胞関連遺伝子・免疫調整遺伝子の発現を回復させることで、骨再生効果を向上させることを示した

【概要】

増殖して骨・軟骨・脂肪への分化能を持つ間葉系幹細胞が再生医療の細胞供給源として着目されています。しかしながら、プラスティックディッシュを用いた接着培養を繰り返すことで、予期しない自発的な分化や細胞劣化・老化が生じてしまい、幹細胞性が低下し、臨床効果にも悪影響を及ぼすという問題がありました。東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野の大堀悠美(おおほり ゆみ)学術研究員、新部邦透(にいべ くにみち)講師および江草 宏(えぐさ ひろし)教授らの研究グループは、振盪浮遊培養を応用することにより、一度低下したヒト間葉系幹細胞の分化能および幹細胞関連遺伝子・免疫調整遺伝子の発現を向上させ、骨再生効果を示す新たな神経堤細胞様の間葉系幹細胞スフェロイドの作製に成功しました。

この振盪浮遊培養技術は、弱った幹細胞を若返らせる技術へつながる可能性があります。また、作製した神経堤細胞様の間葉系幹細胞スフェロイドは、軟骨や神経といった他の組織再生への応用も期待されます。

本研究成果は、2022年3月11日 Stem Cells Translational Medicineのオンライン版に掲載されました。

図1: 振盪浮遊培養により形成された神経堤様間葉系幹細胞スフェロイドとその性質の概要

【用語解説】

※1 間葉系幹細胞:体性幹細胞の一つ。骨髄や脂肪、胎盤や歯髄といった組織中に存在し、プラスティックディッシュに張り付き、増殖して骨・軟骨・脂肪への分化能を持つ細胞と定義されている。近年では、神経堤(後述)由来の間葉系幹細胞が存在し、神経・グリア・平滑筋といった細胞への分化能も保つことが知られている。

※2 振盪浮遊培養法:円錐形フラスコの液体培地中に細胞を浮遊させ、特殊な恒温振盪培養装置(バイオシェーカー)を用いてフラスコを振盪、培地中の細胞に振盪刺激を加えて培養する。これまで酵母や大腸菌等の微生物の培養で用いられてきた培養法である。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 
分子・再生歯科補綴学分野
講師 新部 邦透(にいべ くにみち)
E-mail: kunimichi.niibe.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院歯学研究科 
分子・再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
E-mail: egu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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