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細菌の泳ぎを一瞬で加速する光応答性蛋白質を発見 生物共通のシグナル物質を光で操る新技術開発に期待

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 准教授 中村修一
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 遊泳中に光を受けると急加速する土壌細菌を発見した。
  • 光を受けて「サイクリックAMP(cAMP)(※1)」を作り出す蛋白質の関与を明らかにした。
  • 多種多様な生物が利用するシグナル物質であるcAMP が、細菌べん毛の回転制御にも関わることを明らかにした。
  • 光で細胞機能を局部的に制御する光遺伝学の発展が期待される。

【概要】

持続可能な自然エネルギーの代表である太陽光は、視覚や光合成など、生物の機能にとって欠かせない存在です。光を受けて活性化することによりイオン輸送などを行う蛋白質は、光応答性蛋白質と呼ばれ、その遺伝子を神経細胞などに組み込むことで、光によって細胞機能を局部的に操作する光遺伝学という技術が注目されています。

琉球大学医学研究科細菌学講座の許駿助教(研究当時 東北大学大学院生)と東北大学大学院工学研究科の中村修一准教授らの研究グループは、国立感染症研究所、九州工業大学、千葉科学大学、福岡大学と共同で、光を受けた直後に遊泳を急加速する土壌細菌を発見しました。特定した光応答性を担う遺伝子を調べたところ、ヒトを含む多様な生物が細胞応答調節に利用するサイクリックAMP(cAMP)を作り出す酵素の遺伝子でした。光で活性化してcAMPを作る酵素は、真核生物であるミドリムシで初めて見つかりました。原核生物である細菌の運動を一瞬で加速する光活性型cAMP合成酵素の発見は今回が初めてで、新しい光遺伝学ツールの開発につながることが期待されます。本研究成果は2022年4月27日(日本時間)に英科学誌Scientific Reportsに掲載されました。

図1.光に応答して遊泳速度を加速する細菌の発見

【用語解説】

※1 サイクリックAMPcAMP
ヒトからバクテリアまでの幅広い生物種でシグナルとして働く分子である。細胞内シグナル伝達でセカンドメッセンジャーとして働き、遺伝子調節など多くの生体機能の調節を担っている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院工学研究科
応用物理学専攻
准教授 中村 修一
電話: 022-795-5849
Email: shuichi.nakamura.e8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
電話: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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