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心不全におけるがん既往と心房細動の関連を解明 -がん既往歴があり心房細動を合併した心不全では血栓症と出血リスクが高い-

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科循環器内科学分野 教授 安田聡
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 心不全・心房細動・がんは、生活習慣や炎症を背景とした共通の危険因子を持つ。
  • がん既往歴のある心不全患者で心房細動を合併した症例では、脳卒中・全身性塞栓症・出血リスクが高いにもかかわらず、36%は抗凝固(抗血栓)治療を受けていなかった。
  • 心不全におけるがん既往歴と心房細動を併発した症例についての医学的な意義を明らかにした。

【概要】

心不全とがんは、世界的に主要な死因です。両者の危険因子は喫煙や食事内容といった生活習慣等で共通しており、その発症には慢性炎症という共通の機序が関わっています。心不全症例では、がん発症率・死亡率が高いということ、心不全並びにがん症例では、不整脈の一つである心房細動が合併する割合が高いことなどが知られていました。

東北大学大学院医学系研究科の安田聡教授・後岡広太郎准教授らの研究グループは、東北大学が主催する第二次東北慢性心不全登録研究注1に登録された心不全患者データを解析することにより、3者が合併した場合の予後への影響について、以下の重要な知見を得ました。(1)がん既往歴のある心不全症例が心房細動を合併した場合、脳卒中・全身塞栓症・出血リスクが高い、(2)がん既往歴があり心房細動を合併した心不全症例の約4割が、塞栓症への適切な抗凝固(血栓予防)療法を受けていない可能性があります。

本研究成果は、心不全症例における、がんと心房細動の関わりについての医学的な意義を世界で初めて明らかにしたものです。本研究は、今後新たな治療戦略に繋がることが期待されます。

本研究成果は2022年4月17日(英国時間)に、欧州心臓病学会の学会誌であるESC Heart Failure誌にオンライン掲載されました。

【用語解説】

注1. 第二次東北慢性心不全登録研究(CHART-2研究:Chronic Heart Failure Analysis and Registry in the Tohoku District-2):東北大学循環器内科が実施中の心不全患者の治療経過に関する多施設前向き観察研究。2006年から2010年まで、のべ10,219人の患者登録を行い、2021年まで追跡調査が行われた国内最大の慢性心不全の疫学研究である

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野
教授 安田 聡(やすだ さとし)
電話番号:022-717-7152
Eメール:syasuda*cardio.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-8032 FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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