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放射線治療の個別化医療実現へ 深層学習で頭頸部癌の放射線治療による腫瘍縮小効果の予測に成功

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野 病院講師 角谷倫之
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 放射線治療を行う前に治療による腫瘍縮小効果を正確に把握することは困難である。
  • 腫瘍CT画像を深層学習注1モデルに入力するだけで、CT画像から患者ごとの放射線治療による腫瘍縮小効果を高い精度で推定することに成功した。
  • 患者ごとに最適な治療方針を決定する支援システムの開発につながる成果。

【概要】

放射線治療は、腫瘍などの患部に強い放射線を照射して、標的の組織を死滅させる治療法です。患部や患者によってその効果が異なるため、できるだけ腫瘍の縮小効果がある患者を選んで治療を行うことが大切ですが、予め正確に予測することは困難です。東北大学大学院医学系研究科の放射線腫瘍学分野 神宮教授・角谷病院講師・勝田助教らのグループは、独自の機械学習アルゴリズムにより、治療前の腫瘍CT画像を入力するだけで、その患者の放射線治療による腫瘍縮小を予測することに成功しました。本研究は、放射線治療による腫瘍縮小を高い精度で推定できた重要な報告です(予測精度:AUC注2 = 0.75)。本研究によって、放射線治療の個別化医療の発展に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2022年5月27日にScientific Reports誌(電子版)に掲載されました。

図1 深層学習を応用した腫瘍CT画像から放射線治療の腫瘍縮小効果を高い精度で推定する手法

【用語解説】

注1.機械学習:人間の神経細胞の仕組みを再現した人工知能の手法の一つ。与えられた情報からルールや重要な情報を学習し、人間が欲しい出力を予測してくれる。現在では画像認識や音声認識、翻訳など様々な分野で大きな成果を生み出している。

注2.AUC:予後予測の精度を表す指標。AUCの範囲は0~1までで、人工知能が予測した出力が全て正しい場合はAUC = 1、ランダムに予測した場合は0.5、全部反対に予測してしまった場合は0となる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野
病院講師 角谷 倫之 (かどや のりゆき)
電話番号:022-717-7433
Eメール:kadoya.n*rad.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-8032
FAX 番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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