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人類の都市文明の立地と発展に粘菌からヒント 現実の地形にあわせた、街と道の千年紀シミュレーション

【本学研究者情報】

〇情報科学研究科 人間社会情報科学専攻
地域計量システム分析分野 准教授 藤原直哉
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 都市や道路網の立地と発展に、地形条件(山や河川・海)は深く関わっていると長年議論されてきたが、その定量的な効果は不明であった。
  • 真正粘菌の輸送ネットワーク形成過程とグーグルの検索アルゴリズムをヒントに、街と道の共発展シミュレーションモデルを作成。90mの高精度地形上で、古代ローマの人口分布を出発点として、中世イタリアから現代まで再現実験を行った。
  • 海岸線、標高、河川など地形情報を段階的に加えていくことで、先行研究(中心地モデル)で予見された規則的な都市配置が変化し、現実の人口分布に近づいた。その変化量を測定することで地形効果を定量化した。
  • 今後、水資源や地質、植生などの環境要因を加えることで、本研究成果は歴史・地理学の分野に、新たな「仮想実験環境」を提供しうるものである。

【概要】

香川大学 教育学部の青木高明准教授、東北大学 大学院情報科学研究科の藤原直哉准教授、北海道大学 電子科学研究所の中垣 俊之教授、イギリス・オックスフォード大学の Mark Fricker 教授の研究グループは、現実の地形条件にあわせた、街と道の共発展シミュレーションを構築し、都市・道路の発展における地形条件効果を定量的に分析した。「いかなる場所に街や道が発展するのか?」という問いに対して、山や河川・海などの地形条件は重要であると長年議論されてきたが、その定量的な測定は未解決であった。本手法は真正粘菌の輸送ネットワーク形成過程とグーグルの検索アルゴリズムをヒントに、都市・道路網のパターン形成の「仮想実験環境」を実現した。イタリア半島を事例に、古代ローマから現代までの長期間シミュレーションを実施したところ、現実の地形条件を課すことで、実際の人口分布と近い状況が再現され、全体で72%の改善を確認した。今後、水資源や地質、植生などの環境要因を加えることで、都市の立地と発展に関する新たな仮説・実験型の研究手法となることが期待される。

本成果は2022年6月16日(米国東部夏時間)にネイチャー・パブリッシング・グループの総合科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開された。

図1 都市と道路網の共発展シミュレーションモデル のコンセプト図

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学 大学院情報科学研究科
広報室 佐藤
電話:(022)-795-4529
E-mail: koho*is.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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