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早期アルツハイマー病の治療法開発に一歩前進 - 治療機器が厚生労働省「先駆的医療機器指定制度」の対象品目に指定 -

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科 客員教授 下川宏明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 超高齢社会においてアルツハイマー病の患者数が急激に増加しているが、有効で安全な治療法の開発が待たれている。
  • 低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)注1治療が、アルツハイマー病に対し有効かつ安全であることを動物モデルにおいて世界で初めて確認したことを受け、早期アルツハイマー病の患者に対し探索的治験を実施した結果、その安全性が確認され、有効性が強く示唆された。(論文は9月15日オンライン掲載)
  • この早期アルツハイマー病に対するLIPUS治療機器が、9月5日付けで厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、「先駆的医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品指定制度(以下、先駆的医療機器指定制度)」の対象品目に指定が了承された。
  • 研究代表者である下川宏明客員教授は、2020年4月に、東北大学発のスタートアップ企業であるサウンドウエーブイノベーション社を設立した。

【概要】

現在、超高齢社会を迎え、アルツハイマー病の患者が世界的に急増していますが、有効で安全な治療法がまだ開発されていません。東北大学大学院 医学系研究科の下川宏明客員教授らの研究グループは、低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)注1がマウスのアルツハイマー病モデルにおいて有効かつ安全であることを示し、その詳細な作用機序を明らかにしていました。そこで、2018年~2021年にかけて早期アルツハイマー病の患者を対象に、探索的治験を実施し、その安全性を確認し、有効性を強く示唆する結果が得られました(Shimokawa H, et al. Tohoku J Exp Med. 2022)。(論文は9月15日掲載) このLIPUS治療技術の社会実装を促進するために、下川客員教授は、2020年4月に東北大学発のスタートアップ企業であるサウンドウエーブイノベーション社を設立しました。今回、この治療機器が、厚生労働省による「先駆的医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品指定制度(以下、先駆的医療機器指定制度)」の対象品目として9月5日付で指定が了承されました。  

図1. アルツハイマー病治療用LIPUS治療機器(LIPUS-Brain)
ヘッドギア型の探触子を両側のこめかみに配置し、特殊な条件のLIPUS(32 サイクル, 0.5 MHz, 0.25 W/cm2, etc.)を左右交互に照射する。1回の治療時間は1時間。週に3回の治療を、3か月おきに行う。

【用語解説】

注1. 低出力パルス波超音波:
人間の可聴域を超える周波数(20 kHz以上)を持った波は超音波と呼ばれ、媒質を振動して伝導する縦波(疎密波)から構成される。パルス波は、連続的に音波を発信し続ける連続波とは対照的に、断続的に音波を発信する照射方法であり、生体内の機械的振動によって生じる熱の発生を抑えられるため、連続波よりも高い強度での照射が可能になる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・循環器先端医療開発学寄附講座
客員教授 下川 宏明(しもかわ ひろあき)
(現職:国際医療福祉大学 副大学院長)
E-mail shimo*cardio.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学病院広報室
電話 022-717-7149
E-mail press*pr.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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