本文へ
ここから本文です

金属アレルギーを引き起こさない歯科矯正用ワイヤーを開発 〜TiNコーティングで歯磨きしても金属溶出を防止〜

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 准教授 北浦英樹
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • イオンプレーティング法*1でセラミックスの窒化チタン(TiN)を矯正用ステンレススチールワイヤーにコーティングすることで、金属イオンの溶出を抑制できることを見いだした。
  • TiNコーティングは金属との密着強度、耐摩耗性に優れており、歯ブラシで20000回磨いても剥がれないことを明らかにした。
  • TiNでコーティングを行うことでステンレススチール製の矯正用ワイヤーを金属アレルギー患者でも適応できる可能性が示唆される。

【概要】

不正咬合を治すために用いる金属製の矯正装置から口腔内への金属イオンの溶出は、金属アレルギーを有する患者にとって大きな問題となります。特に鉄合金であるステンレススチール製矯正用ワイヤーからのイオンの溶出が問題になっており、金属アレルギーを有する患者の治療に制約を生じます。

東北大学病院矯正歯科の伊藤新助教、東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野の北浦英樹准教授および溝口到教授の研究グループは、生体親和性に非常に優れたセラミックスの窒化チタン(TiN)をイオンプレーティング法で矯正用ワイヤーにコーティングした結果、矯正用ワイヤーからの金属溶出を抑制できることを発見しました。さらに、TiNはコーティングが剥離する主な原因として考えられる歯ブラシで、20000回磨いても剥がれないことを実験で明らかにしました。本研究成果により、金属アレルギーを有する矯正歯科患者に対してもイオンプレーティング法によるTiNコーティングを行ったステンレススチール製ワイヤーを適用できる可能性が期待できます。

この研究成果は、2022年9月22日にオープンアクセスジャーナルのApplied Sciencesに掲載されました。

【用語解説】

*1 イオンプレーティング法 金属のコーティング方法の一つ。電子ビームでTi等を蒸発させプラズマを通すことで正に帯電させ、一方で負に帯電処理を行った金属に電気的引力でコーティング膜を形成する方法である。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
顎口腔矯正学分野
准教授 北浦英樹
電話: 022-717-8374
E-mail: hideki.kitaura.b4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ