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右心不全に対する世界初の超音波治療の開発 - 非侵襲的な低出力パルス波超音波治療の有効性 -

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科循環器内科学 客員教授 下川宏明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 右心不全は肺高血圧症患者の最も重要な予後規定因子となっているが、有効な薬剤は未だ開発されておらず、効果的な治療法の開発が世界的に急務となっている。
  • 本研究では、低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)注1治療が、右心不全に対し有効かつ安全であることを動物モデルにおいて世界で初めて明らかにした。

【概要】

心不全には、左心不全と右心不全の2つのタイプがあり、これまで左心不全に対する有効な薬物療法は数多く開発されてきました。しかし、右心不全に有効な薬剤はまだ開発されておらず、この点でも世界的に大きな問題となっています。東北大学大学院 医学系研究科 循環器内科学分野の下川 宏明客員教授らの研究グループは、低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)が右心不全動物モデルにおいて有効かつ安全であることを示し、また、その詳細な作用機序を明らかにしました。本研究は、LIPUS治療が未だ有効な治療法のない右心不全に対して有効である可能性を示唆しており、LIPUS治療は薬物を使用しない世界初の革新的な治療法となることが期待されます。

本研究成果は2022年10月12日に、米国心臓病学会の学会誌であるJACC: Basic to Translational Science誌にオンライン掲載されました。 

図1. 右心不全に対するLIPUSの作用機序
LIPUS治療は、血管内皮細胞に作用しeNOS-NO-cGMP-PKG経路を活性化させることで、心筋細胞の肥大の抑制、ならびに心筋間質の線維化の抑制を介して、右心機能を改善させることが明らかになった。

【用語解説】

注1. 低出力パルス波超音波:人間の可聴域を超える周波数(20kHz以上)を持った波は超音波と呼ばれ、媒質を振動して伝導する縦波(疎密波)から構成される。パルス波は、連続的に音波を発信し続ける連続波とは対照的に、断続的に音波を発信する照射方法であり、生体内の機械的振動によって生じる熱の発生を抑えられるため、連続波よりも高い強度での照射が可能になる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・循環器先端医療開発学寄附講座
客員教授 下川 宏明(しもかわ ひろあき)
電話番号:022-717-7152
Eメール:shimo*cardio.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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