本文へ
ここから本文です

貴金属に富んだ星々は100億歳 世界最高解像度天の川銀河シミュレーションに成功

【本学研究者情報】

〇大学院理学研究科 天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD(国際競争力強化研究員)
平居 悠(ひらい ゆたか)
天文学教室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 世界最高解像度で天の川銀河形成のシミュレーションに成功しました。
  • 金、プラチナ、ユーロピウムなど鉄より重い元素に富んだ星の多くは100億年前、天の川銀河の元となった小さい銀河で形成されたことを示しました。
  • 100億年以上前の天の川銀河形成史を星の元素組成・運動から理解できるようになりました。

【概要】

私たちが暮らす太陽系を含む天の川銀河は、宇宙が誕生した138億年前の数億年後から形成されてきたとみられています。しかし誕生から形成の過程は謎に満ちており、今でも解明されていないことがたくさんあります。

東北大学大学院理学研究科の平居悠 研究員(日本学術振興会特別研究員-CPD (国際競争力強化研究員)/ノートルダム大学物理天文学科)らは国立天文台、計算基礎科学連携拠点、神戸大学と共同で、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」(注1を用いて、天の川銀河ができる様子を世界最高解像度でシミュレーションすることに成功しました。その結果、金、プラチナなど鉄より重い貴金属の元素を多く含む星は、100億年以上前、天の川銀河の元となった小さい銀河で形成されたことを明らかにしました。また、本シミュレーションで形成された星の元素量、運動は天の川銀河の星の観測と一致しました。今後、国立天文台のすばる望遠鏡(注2などでの観測が進むと、貴金属に富んだ星を指標として、長年の謎であった100億年以上前の天の川銀河形成史を辿れるようになることが期待されます。

本研究成果は、英国の学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society(王立天文学会月報)」で、20221114日(英国時間)にオンライン公開されました。

図1:本研究で行われた天の川銀河形成シミュレーションによる星とガスの分布。黄色で描かれていているのが星、水色で描かれた粒子がガスを表す。©︎Yutaka Hirai

【用語解説】

(注1)アテルイⅡ
国立天文台が運用する天文学専用のスーパーコンピュータ。理論演算性能は 3.087 ペタフロップス( 1 ペタは 10 の 15 乗、フロップスはコンピュータが 1 秒間に処理可能な演算回数を示す単位)で、天文学の数値計算専用機としては世界最速。岩手県奥州市にある国立天文台水沢キャンパスに設置されており、平安時代に活躍したこの土地の英雄アテルイにあやかり命名された。

(注2)すばる望遠鏡
国立天文台がハワイ・マウナケア山頂で運用する、口径8.2メートルの光学赤外線望遠鏡。本研究では、すばる望遠鏡に搭載された高分散分光器(High Dispersion Spectrograph, HDS)によって観測された恒星の分光データを用いた。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD(国際競争力強化研究員)
平居 悠(ひらい ゆたか)
電話:022-795-6505
E-mail:yutaka.hirai*astr.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話: 022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs04

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ