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材料の種類によらず電子スピン波を観測できる新手法を構築 -さまざまな半導体における超並列演算処理へ期待-

【本学研究者情報】

大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻 教授 好田誠
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • さまざまな材料において電子スピン波(注1)を検出できる新たな観測手法を開発
  • 従来光学的手法のみで観測されてきた電子スピン波の電気的検出に初めて成功
  • 半導体の電子スピン波を活用した超省電力素子や新概念論理回路へ展開可能

【概要】

電子は磁石としての性質であるスピンを有しています。スピンは、既存の半導体集積回路が苦手とする並列演算処理を得意とするため近年注目されています。その中で、スピンの向きが回転しながら空間伝搬して生まれる電子スピン波は、波の重ね合わせを活用した並列演算処理ができる新たな情報担体として期待され、さまざまな半導体における電子スピン波の検出が長年望まれていました。

従来電子スピン波は光学的にしか検出できず、光を吸収する限られた材料でのみ利用されてきました。この度、東北大学大学院工学研究科の齋藤隆仁氏(研究当時、博士後期課程在籍)、東北大学大学院工学研究科・量子科学技術研究開発機構量子機能創製研究センター好田誠教授・グループリーダーらの研究グループは、電子スピン波を電気的に観測できる新たな原理を確立し、半導体を含むさまざまな材料の電子スピン波が観測できる基盤を構築しました。これにより、材料選択の幅が格段に広がり、電子スピン波情報処理に向けた半導体材料開発を一気に加速させることが可能です。本研究はドイツのピーター・グリュンベルグ研究所、ニュージーランドのヴィクトリア大学との共同研究です。

本研究成果は、2022年12月27日付(米国時間)で米国の科学誌「Physical Review Research」にてオンライン公開されました。

図1.半導体中の電子スピン波の模式図。スピンが向きを揃えて一斉に回転する空間構造を持ち、スピン情報の精密制御および長時間保持の鍵となる特性を示す。

【用語解説】

注1 電子スピン波
電子のもつ磁石の性質であるスピンが、その向きを回転させながら空間伝搬する現象です。その名称は、スピンの向きが回転しながら波をつくる様子に由来しています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関して>
東北大学大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻
教授 好田 誠
TEL: 022-795-7316
Email: makoto*material.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関して>
東北大学工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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