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量子コンピュータで化学反応計算を行う手法開発 -燃焼など化学反応計算の飛躍的な高速化に期待-

【本学研究者情報】

〇流体科学研究所 助教 森井雄飛
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 量子コンピュータ*1を用いて実用規模のエンジンやガスタービンなどを対象とする詳細な燃焼(化学反応)計算を可能にする手法を提案しました。
  • 量子コンピュータが扱うことのできない非線形問題である化学反応の問題を、量子コンピュータの得意な線型問題に変換する手法を開発しました。
  • 古典コンピュータが今後発展したとしても不可能と考えられる大規模な問題であっても、本開発手法と量子コンピュータを組み合わせることで計算可能になると期待されます。

【概要】

燃焼を含む反応性流体の数値解析において、化学反応の時間進行は計算コストが非常に高く、ボトルネックとなります。

量子コンピュータは、非常に高速な計算性能が期待され世界中で研究が進められていますが、線型問題しか解くことができず、一般に強い非線形問題として知られる化学反応とは相性が悪いと考えられてきました。東北大学流体科学研究所秋葉貴輝(工学研究科博士後期課程)、森井雄飛助教らの研究グループでは、量子コンピュータが膨大な変数を取り扱える特性に着目し、非線形問題を膨大な変数で線型化する手法(Carleman線型化)を取り入れることで、非線形な化学反応問題を線型問題に帰着させ、量子コンピュータで取り扱うことのできる手法を開発しました。さらに、線型化する際に使用する変数を増やすことで計算の精度が向上することを示しました。今後、量子コンピュータの実現とともに化学反応計算の飛躍的な高速化が達成されることが期待されます。

本研究成果は、2023年3月9日にScientific Reports誌電子版に掲載されました。

図1. 本研究で提案したアルゴリズムの概要

【用語解説】

*1.量子コンピュータ
量子力学に基づく次世代のコンピュータ。特定の分野において、現代のコンピュータでは解けない問題を高速に解くことが期待される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
助教 森井雄飛
TEL:022-217-5296
E-mail: morii*ifs.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学流体科学研究所
教授・所長 丸田薫
TEL:022-217-5319
E-mail: maruta*ifs.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)


(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所 
広報戦略室
TEL:022-217-5873
E-mail: ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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