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鳥に乗って4000キロ空の旅 淡水貝の大陸間移動の直接的証拠を初めて報告

【本学研究者情報】

〇東北アジア研究センター 教授・千葉聡
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 日本に飛来した渡り鳥の体表に付着していた巻貝が、日本未記録の種であり、その由来がオセアニア周辺と推定されました。
  • 移動性の低い動物が鳥に付着して大陸間を移動した直接的な記録としては世界的に稀な成果です。
  • 本成果は、鳥を介した長距離移動というこれまでの仮説を直接的に裏付ける重要な発見です。

【概要】

移動能力の低い生物はどのようにして分布を広げているのでしょうか。その移動メカニズムについて様々な推測がなされてきました。 我孫子市鳥の博物館、東北大学の研究グループは、春に日本に飛来した渡り鳥オオジシギ(注1)の体表に付着した巻貝を発見し、これを形態と分子系統学の観点から詳細に検討しました。その結果、付着していた巻貝はオセアニアからフィリピンにかけて分布し、日本では記録のない淡水巻貝Glyptophysa属の種であることが明らかになりました。オオジシギは春にオセアニアから日本に直接渡ってくることが知られており、これらの事実から、Glyptophysa属の貝類はオセアニアからオオジシギに付着して4000kmに渡って輸送された可能性が強く示唆されました。 本研究成果は、移動能力の低い生物の長距離移動を可能にする要因として鳥類が重要であることを示す決定的な証拠です。
本成果は7月11日(日本時間)、生態学の専門誌Ecographyに掲載されました。

図1.   かすみ網(a)によって捕獲されたオオジシギ(b)と、その胸部の羽毛の根本に付着していた淡水貝(c)。

【用語解説】

注1.オオジシギ:チドリ目シギ科の中型の渡り鳥。本州から北海道、ロシア東部で主に繁殖し、オーストラリアで越冬する。湿地に生息し、ミミズなどの小動物を食べる。雄は繁殖期に飛びながら鳴き、尾羽を使って「ゴゴゴ...」と激しい音を立てるディスプレイを行うことが知られている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北アジア研究センター
教授 千葉 聡
TEL: 022-795-7560
E-mail: schiba*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学東北アジア研究センター広報運営室
Tel: 022-795-6009
E-mail: kouhou.cneas*grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)



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