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3次元グラフェン造形のキープロセスを解明 6員環のエッジに5員環や7員環が組み込まれてジッピング

【本学研究者情報】

〇多元物質科学研究所 助教 吉井丈晴
材料科学高等研究所 教授 西原洋知
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 2次元平面状のグラフェンを3次元化するためのキープロセスである、衣服のジッパー(チャック)を締めるような現象のジッピング反応によるグラフェン修復の機構を解明しました。
  • 先端計測と理論計算の融合により、ジッピング反応によって6員環で構成する平面状のグラフェンを3次元の立体的に造形するために必須である5員環や7員環を導入可能であることを明らかにしました。
  • 本研究は3次元グラフェン材料の合成ルートを確立するものであり、自在な3次元グラフェン造形への展開が期待されます。

【概要】

グラフェン(注1)は軽くて強い上に、熱・電気伝導性が高いといったユニークな特徴を併せ持っていますが、原子の厚みしかもたない2次元構造であり、電子デバイスなどの2次元的な用途に限定されてきました。蓄電デバイスなどへの応用には、グラフェンを積層させることなく3次元の立体的構造にすることが必須です。しかしながら、グラフェンを自在に3次元造形することは困難でした。

東北大学、群馬大学、信州大学、九州大学、高エネルギー加速器研究機構の研究チームは、実験と理論の両輪により、3次元グラフェン造形のためのキープロセスである「ジッピング反応」によるグラフェン修復の機構を解明しました。グラフェンの3次元化に必須である炭素5員環や7員環がジッピング反応と同時に導入されることを見出し、3次元グラフェン造形のための新たな合成ルートが確立されました。

本研究成果は2023年8月1日付けで、科学誌Chemical Scienceに掲載されました。

ジッピング反応の模式図

【用語解説】

注1. グラフェン
黒鉛を構成する、炭素原子から成るシート状の物質。炭素原子同士が化学結合して六角形が連なった平面(六角網面)を形成している。炭素原子が形成する六角形は6員環とも呼ばれる。強度が強い、電気伝導性・熱伝導性が非常に高いといったユニークな特徴を有する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
助教 吉井丈晴
TEL: 022-217-5627
E-mail: takeharu.yoshii.b3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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