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屋根上太陽光発電とEVの活用が都市の脱炭素化に大きく貢献と試算 ─ イル・ド・フランス全体でCO2排出量最大76%減に ─

【本学研究者情報】

〇大学院環境科学研究科
准教授 小端拓郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 2050年カーボンニュートラルを実現するには、都市の脱炭素化を急ぐ必要があります。
  • フランス・パリにおいて屋根上太陽光発電と電気自動車(EV)を蓄電池として活用する「SolarEVシティー構想(注1)」で、都市の脱炭素化にどの程度貢献できるかフランスの研究所と試算しました。
  • パリは、周辺地域イル・ド・フランスと一体としてSolarEVシティーを構築することで効率的な脱炭素化につながると考えられます。

【概要】

 パリ協定(注2)での温度目標の達成のために、急速な温暖化と気候変動を最小限にするには、2050年までにカーボンニュートラル(注3)を実現する必要があります。そのためには、化石燃料の使用をやめ、発電コストが化石燃料より安くなった再生可能エネルギーを最大限活用する必要があります。SolarEVシティー構想は、屋根上PVを最大限活用し普及の進むEVを蓄電として都市スケールで活用するものです。分析の結果、パリは、面積当たりのエネルギー需要が高いため屋根上PVで賄えるエネルギーが限られますが、周辺地域のイル・ド・フランス全体として、屋根上PVとEVを蓄電池と使用するシステム(SolarEVシティー)を構築することで、最大23%程度のエネルギーコストの削減しつつ、電力と乗用車の運転に伴うCO排出の最大76%削減に繋がることが分かりました。パリだけではPV+EVシステムは最大31%の電力供給(EV含む)に限られますが、郊外を含むイル・ド・フランスでは最大60%程度の電力供給が可能となります。

 本研究成果は8月25日、エネルギー分野の専門誌Applied Energyに掲載されました。

図1. パリとイル・ド・フランス。フランス首都パリはパリ都市圏の中心部に相当し、イル・ド・フランスはパリ首都圏や郊外を含む地域圏。



【用語解説】

注1 SolarEVシティー構想:
屋根上に設置する太陽光発電(PV)と電気自動車(EV)を蓄電池として用いるシステムを都市スケールに広げる構想。エネルギー経費の大幅削減を実現しながら都市の脱炭素化が可能になる。東北大学大学院環境科学研究科の小端拓郎准教授が前職である国立環境研究所特別研究員の時から中心となって進めている。

注2 パリ協定:
2015年12月にフランスのパリで開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みの協定。

注3 カーボンニュートラル:
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること。日本政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロを目指すと宣言した。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科
准教授 小端拓郎
TEL: 022-752-2259
Email: takuro.kobashi.e5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科
情報広報室
TEL: 022-752-2233
Email: kankyo.koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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