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ニホンミツバチは3つの異なる地域集団に区別できる 地域間のコロニー移動などが局所適応を妨げる可能性も

【本学研究者情報】

〇教養教育院 総長特命教授 河田雅圭
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 本州以南に生息する、日本唯一の野生ミツバチであるニホンミツバチは、国内で遺伝的に均一な集団が分布すると考えられていましたが、全ゲノム配列の解析により、大きく3つの異なる地域集団に区別できることを明らかにしました。
  • 自然選択を受けた遺伝子の解析から、ニホンミツバチの異なる3地域への局所適応は温暖化などの気候変動に対して脆弱で、気温上昇に応じて分布を北上させることが困難である可能性が示唆されました。
  • 異なる地域間で、人為的にコロニーを移動させることは、ニホンミツバチの局所適応を妨げる可能性があり、注意が必要なことを示唆しました。

【概要】

ニホンミツバチはトウヨウミツバチの1亜種で、本州以南に生息する日本で唯一の野生種ミツバチです。これまでの研究では、ニホンミツバチが国内で遺伝的に均一であるとされていました。

東北大学大学院生命科学研究科博士課程の若宮健(現在は東京都立大学理学部生命科学科特別研究員)と東北大学大学院生命科学研究科の河田雅圭教授(現在は東北大学総長特命教授)らの研究グループは、日本各地の105個体のニホンミツバチの全ゲノム配列を解析し、遺伝的に異なる3つの地域集団(北部、中央部、南部)を確認しました。さらに個体の遺伝的組成から、人為的に移入された個体かの判別が可能であることがわかりました。また、それぞれの遺伝的に分化した3地域への適応に関わる遺伝子の検出を試みた結果、本種が地域特異的な要因に適応していることが示唆されました。これらのことから、地域間のコロニーの人為的移動は、コロニーの適応状態を阻害する可能性が考えられます。

本研究の成果は、9月29日(現地時間)にEcology and Evolution誌に掲載されました。

図1. ニホンミツバチにおける集団の遺伝的分化の概要。全ゲノム配列の解析から北部、中央部、南部の集団を遺伝的に区別できた。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学教養教育院
総長特命教授 河田 雅圭
TEL: 022-795-4974
Email: kawata*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Emai: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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