本文へ
ここから本文です

妊娠期に糖質が欠乏すると胎仔マウスの生殖細胞に異常が出る 生殖細胞形成における糖質代謝の役割

【本学研究者情報】

〇加齢医学研究所附属医用細胞資源センター 教授  松居靖久
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 糖質の代謝は胚発生(注1)の初期に起こる生殖細胞の形成と、その後の精子と卵子への分化に必要です。
  • 妊娠マウスにおける糖質の欠乏が胎仔の生殖細胞の形成と分化を阻害することを明らかにしました。
  • 子の生殖能力に影響する妊娠期の栄養環境改善のヒントとなり得ます。

【概要】

妊娠期の栄養状態が、生まれた子の健康に影響することが知られていますが、胎児期に起こる生殖細胞の形成にどのように影響するかは分かっていません。

東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター 松居靖久(まついやすひさ)教授、林陽平(はやしようへい)助教の研究グループは、滋賀医科大学と共同で、培養下で多能性幹細胞 (注2)から生殖細胞を誘導する系を用いて糖質(グルコース)の重要性を調べました。その結果、生殖細胞の形成においては、グルコースが特定の代謝経路を介してタンパク質の糖 鎖修飾(注3)の基質として働くことが重要であることを突き止めました。

また妊娠マウスに糖質を含まない給餌を行うと、胎仔のタンパク質の糖鎖修飾が抑制され、生殖細胞形成と分化が阻害されることを明らかにしました。これらの結果は、妊娠期の糖質欠乏が、子の生殖機能に影響を与える可能性を示唆するものです。

本研究成果は10月16日、生命科学の専門誌 EMBO Reports誌電子版に掲載されました。

図1. 本研究の概要:生殖細胞形成における糖質代謝の役割。

【用語解説】

注1. 胚発生:多細胞生物の受精卵が細胞分裂を繰り返し成体になる過程。

注2. 多能性幹細胞:体を構成するほとんどすべての細胞に分化できる幹細胞。

注3. 糖鎖修飾:アミノ酸残基に糖鎖を付加する、タンパク質の主要な翻訳後修飾の一つ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学加齢医学研究所
附属医用細胞資源センター
教授 松居 靖久、助教 林 陽平
TEL:022-717-8571
Email: yasuhisa.matsui.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
Email: yohei.hayashi.e2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
TEL: 022-717-8443
E-mail: ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ