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AIが描く超新星爆発の広がり ――深層学習を用いた超新星爆発シミュレーションの高速再現技術――

【本学研究者情報】

大学院理学研究科天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD
(国際競争力強化研究員)
平居 悠
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 動画生成技術を元にした深層学習モデルを応用して、3次元の超新星爆発シミュレーションの結果を高速に再現する新しいモデルを開発した。
  • 大規模な銀河形成シミュレーションにおける超新星爆発の計算のボトルネックを解消するために、深層学習を活用した高速化手法を世界で初めて提案した。
  • 本研究で開発した新しい深層学習モデルを導入することで、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」で実装中の高解像度銀河形成シミュレーションのさらなる高速化が期待される。

【概要】

 超新星爆発(注1)は、銀河の星形成(注2)や元素分布に影響を与える重要な現象です。しかし、この超新星爆発の計算をこれまでの銀河形成シミュレーション(注3)に組み込むと、計算コストが増大し、最先端の計算機を使用しても、銀河内での超新星爆発の影響を直接的に計算するのは困難でした。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の平島敬也大学院生、藤井通子准教授、物理学専攻の森脇可奈助教らによる研究グループは、従来のシミュレーションに替わり深層学習(注4)を用いて超新星爆発の広がりを予測する手法を開発しました。今後、この深層学習による予測結果を銀河形成シミュレーションに組み込むことで、銀河形成シミュレーションの精度の向上と高速化が期待されます。

AIが超新星爆発を生成する概念図
(クレジット:Butusova Elena, Gorodenkoff/Shutterstock.com、平島敬也)

【用語解説】

注1 超新星爆発:
大質量の星が寿命の終わりに巨大な爆発を起こす現象。この爆発で宇宙に重元素が放出され、新しい星や惑星が形成される材料となる。これにより銀河の進化と多様性が支えられている。

注2 星形成:
星間ガス(主に水素からなるガス)から星が作られる現象のこと。

注3 銀河形成シミュレーション:
宇宙の初期条件から現在までの銀河の進化を数値的に再現するアプローチ。重力、ガス流動、星形成・超新星爆発、放射などの物理プロセスを考慮し、銀河の形成と進化のメカニズムを理解するために行われる。これを通じて、観測データと理論的な予測を照らし合わせ、天文学的な課題を探求する。

注4 深層学習:
AIの一分野で、大量のデータを利用して多層のニューラルネットワークを学習させる技術。人間の脳の動きを模倣したモデルを使い、画像認識や言語処理などで高い性能を示す。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD
(国際競争力強化研究員)
平居 悠(ひらい ゆたか)
電話:022-795-6505
E-mail:yutaka.hirai*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話:022−795−6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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