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ソフトバンクの独自基準点データを活用した令和6年能登半島地震の調査分析について

【本学研究者情報】

〇東北大学大学院理学研究科
附属地震・噴火予知研究観測センター
准教授 太田雄策(おおた ゆうさく)
研究室ウェブサイト

【概要】

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)、ソフトバンクの子会社で位置補正情報の生成・配信事業を手がけるALES株式会社(以下「ALES」)、東北大学大学院理学研究科、京都大学防災研究所、およびソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム(以下「本コンソーシアム」)※1は、令和6年能登半島地震に関する地殻変動の調査分析を継続して実施しています。また、政府の地震調査研究推進本部 地震調査委員会や地震予知連絡会、国内外の関連学会に分析した内容を報告するなど、さまざまな研究・調査活動に協力しています。※2

本コンソーシアムは、ソフトバンクが全国3,300カ所以上に設置している高密度なGNSS※3観測網(以下「ソフトバンク独自基準点」)のうち、能登半島エリアのデータを活用して統合解析することで、令和6年能登半島地震による水平変動や上下変動の地震時変位量と、それに基づく断層面上でのすべり分布などを推定しました。また、2020年から継続している能登半島での地震活動に伴う隆起などの地殻変動に関する詳細の分布も解析しました。これらの成果は、政府の地震調査委員会などで報告され※4、令和6年能登半島地震の発生後および発生前から継続している地震活動の評価などに活用されています。

このような地震の評価には従来、国土地理院のGEONETや、大学などの研究機関が設置するGNSS観測点が主に活用されていました。今回これらの観測点に加えて、ソフトバンク独自基準点で取得したデータも合わせることで地殻変動を具体的にデータで示して、より詳細に地震の描像を得られたことは、ソフトバンク独自基準点のデータが持つ空間的な稠密性(ちゅうみつせい)の高さや有用性を示すものです。

ソフトバンクとALESは、今後も本コンソーシアムの活動を通して、地震だけでなく、地球科学に関するその他の分野(火山、気象、電離圏など)の研究活動にも協力します。さまざまな現象の理解が進むことで、自然災害の高精度な予測を可能にするなど、防災・減災に貢献することを目指していきます。

ソフトバンク独自基準点、国土地理院GEONET、京都大学・金沢大学観測点のGNSS統合解析によって得られた、令和6年能登半島地震(マグニチュード7.6)の発生時と発生後の地殻変動。赤丸は1月1日に発生した地震の震央(気象庁による情報)を表す。
(左)地震時地殻変動。2023年12月22~31日と2024年1月22~31日(1点のみ2月9~18日)の差を地震時変動とした。
(右)対数関数フィッティングによって得られた地震後32日間の地殻変動。

【用語解説】

※1 本コンソーシアムには、国内の21研究機関28部局と民間企業3社が参画しています。詳細はこちら外部サイトへをご覧ください。

※2 本コンソーシアムの成果の一覧は、こちら外部サイトへをご覧ください。

※3 GNSS(Global Navigation Satellite System)とは、米国のGPSなど、上空を周回する人工衛星から送信される電波を利用して、受信点の位置を正確に把握する衛星測位システムの総称です。日本政府は国産のQZSS(準天頂衛星)「みちびき」の利用を促進しています。地面に固定された受信点であれば、時間間隔をおいて計測することで、その間に生じた地殻変動を3次元的に把握することができます。

※4 地震調査研究推進本部 地震調査委員会の評価資料は、こちら外部サイトへをご覧ください。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科
附属地震・噴火予知研究観測センター
准教授 太田雄策(おおた ゆうさく)
電話:022-225-1950
Email:yusaku.ohta.d2*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
 東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話:022−795−6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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