2010年 | メディア掲載
新型閉鎖空間内探査ロボットQuince(クインス)(情報科学研究科・田所諭教授)
国際レスキューシステム研究機構,千葉工業大学,東北大学を中心とするグループは,地下街や高層ビルにおける危険物質漏洩や化学剤によるテロなどCBRNE災害の際に,救助活動のための情報収集を行う「災害対応支援ロボットQuince(クインス)」を開発いたしました.NEDO戦略先端ロボット要素技術開発プロジェクトの一貫として,2006年度より研究開発を行って来た成果です.災害が発生し危険性が高い地下街を,遠隔操縦により高速走行し,要救助者の位置の特定や状態の検査,災害状況の情報収集を行います.
Quinceは,階段や瓦礫などを含む災害空間における高い走行性能,災害空間での活動や汚染物質除去に不可欠な防塵防水,予期せぬ落下時でも機能を持続できる耐久性,を有しています.搭載カメラによる映像や音声に加え,物体や空間の3次元形状を計測する機能を持ち,複数台のQuinceからの情報を統合して記録することが可能です.操縦を容易にするため,走行路の空間の3次元形状を表示したり,階段や瓦礫上を自動走行する支援機能,を有しています.基本機能とオプション機能を分けることによって,災害現場の状況に応じた構成を取ることが可能であり,走破性能や低床性が重視される現場と,高度なセンシングを必要とする現場の両方に対応することができます.
これまでに開発してきたさまざまな機能を順次搭載していき,全国の消防との協力の下,今年度末には実戦配備を可能にする計画です.また,性能試験のためにロボカップ世界大会(シンガポール,6月19日~25日)のレスキューロボット部門に出場し,NIST/ASTM災害対応ロボット訓練大会(米国テキサス州Disaster City,会期未定)で米国災害対応庁(FEMA)隊員による評価を行う予定です.
[お問い合わせ先]
東北大学大学院情報科学研究科 教授 田所諭(たどころさとし)
TEL 022-795-7022 FAX 022-795-7023
E-mail tadokoro*rm.is.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)