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東北大学総長メッセージ 東北大学始動宣言 『世界リーディング・ユニバーシティとして未来への道をひらく』~復旧、復興、そして人類社会の持続的発展に科学の力を結集~

東北大学総長メッセージ

 東北大学始動宣言

   『世界リーディング・ユニバーシティとして未来への道をひらく』

     ~復旧、復興、そして人類社会の持続的発展に科学の力を結集~

 

【東日本大震災と災害に強い本学キャンパス】   

 2011年3月11日(金)に発生しました東日本大震災により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地で救援活動、復興支援に精励されている方々に敬意と感謝を申し上げます。また、国内外から寄せられた心強い激励と迅速な救援活動に対しても、深く感謝を申し上げます。   

 今回の地震は、マグニチュード9.0、最大震度7を記録する観測史上最大級のもので、津波によって甚大な被害をもたらしました。しかし、本学キャンパス内では安全が確保され、幸い人的被害はありませんでした。福島第1原子力発電所からの放射能物質の漏出という重大事故も注視していますが、現地より80km以上離れており、本学独自のモニタリングで放射能レベルは正常値内にあります。  

 東北大学は、教育研究基盤の回復に全力を挙げて取り組んでいるところであり、5月6日には新たな学年期をスタートいたします。   

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震災直後のキャンパス

 

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教育研究活動を再始動

 

 

 

【世界リーディング・ユニバーシティ】   

 東北大学は1907年(明治40年)の建学以来、「研究第一主義」の伝統、「門戸開放」の理念及び「実学尊重」の精神を基に、研究の成果を人類社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献してきました。その歴史は、東北大学に関わる人々のたゆまぬ挑戦の歴史でもあります。   

 現代社会はその変化が速くかつ不連続であり、これまでの想定を覆すような事態が次々と起こる予測困難な時代です。地球温暖化に伴う気候変動など自然破壊現象が相次ぎ、医療問題、エネルギー問題、食糧問題、貧困問題など人間の生存と尊厳を揺るがす深刻な事態に直面しており、政治、経済、産業のいずれにおいても先行き不透明なまま大きく揺れ動いています。そして今回の大震災の悲惨な現実を直視したとき、大学にかかわるすべての人が、「想定外」を専門家の責任解除とすることなく、その責務としてこの不条理を克服する答えを示さなければならないことを改めて痛感しました。  

 本学はここに、大震災の状況に対する献身的な貢献活動と同時に、地域社会の復旧、復興、そして人類社会の持続的発展に向けて、悲しみを希望の光に変える活動に英知を結集して総力を挙げる覚悟と決意を表明いたします。本学の教育力、研究力、そして社会貢献力を更に大きく飛躍させて、世界リーディング・ユニバーシティとして人類社会に貢献していくことこそ、本学の役目であると考えます。

 

【東北大学の新たなる挑戦~Brand New Tohoku University】   

 歴史上かつてない未曾有の大災害に対しては、復旧や復興それ自体が目標ではなく、「安全・安心社会の創生」を目指した新たな人類社会へのパラダイムシフトが求められています。   

 もとより今回の大震災により東北大学の施設・設備等には被害があるものの、本学の機能、そして真価を発揮できる状況には十分あります。東北大学は、被災地域にある学術研究と地域再生の拠点大学として、研究者個人の専門家としての貢献はもちろん、全学横断的な組織体制システムの下、復興・地域再生を先導する研究に戦略的・組織的に取り組み、その成果を発信・実践していきます。そして、次世代のために人間と自然が共存し得る、安全・安心な社会づくりに邁進していくことを通じて、世界から信頼、尊敬、そして愛情を受けられる大学として、人類社会の発展に貢献してまいります。

 

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2011年4月

東北大学総長 井上明久

 

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