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X線の屈折・散乱を画像計測する非破壊検査用高感度X線スキャナの開発-工場生産ラインでの実用化に目処-

東北大学多元物質科学研究所の百生敦教授と株式会社リガクは、科学技術振興機構の研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム 開発課題名「位相敏感高感度X線非破壊検査機器の開発」)の一環として、工場生産ラインなどでの実用化を想定した非破壊検査用高感度X線スキャナを開発しました。これは、X線の影絵によって検査を行なう従来機器に対して、X線位相コントラストを利用してX線の微弱な屈折や散乱を画像検出する仕組みの搭載を世界で初めて成功したことによるものです。
 従来のX線非破壊検査機器では、高分子、半導体、食品などの材料・素材、あるいはそれらを用いた製品にかかわる生産分野で、欠陥や異物検出などの目的に、時として十分な性能を期待できないという問題がありました。これに対して、今回開発した装置は複数のすだれ格子を搭載しており、X線の影絵では映りにくい対象であっても、その欠陥や異物に対する感度を大きく改善しています。これまでにも、静止している物体に対して、同様の原理に基づき、時間をかけて検査することは技術的に可能でした。しかし、たとえばベルトコンベアに乗って逐次移動する多くの物体を検査する目的には適合しません。本装置では、撮影を高速化するだけではなく、撮影視野を横切る物体の動画像から、X線の屈折や散乱を表す画像を形成するための新しい方式の考案が鍵となりました。
 この成果は、第63回応用物理学会春季学術講演会(2016年3月19日~22日、東京工業大学大岡山キャンパス)にて発表されます。

開発した装置の写真。最下部のX線管から上向きにX線が照射される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学多元物質科学研究所
教授 百生 敦
電話番号:022-217-5388
E-mail:momose*tagen.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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