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基礎科学 カテゴリ

2017年9月29日 第144回サイエンスカフェ
超巨大ブラックホールの謎
講師:秋山 正幸 東北大学大学院理学研究科 教授

プロフィール

顔写真  1972年、兵庫県生まれ。2000年に京都大学大学院理学研究科宇宙物理学専攻を修了し、博士(理学)を取得しました。博士課程2年の頃から国立天文台ハワイ観測所に滞在し、研究を行いました。10年間の滞在の後、2008年より東北大学の現職についています。観ることによって、宇宙の謎を解明するのが研究のモットーです。

開催情報

開催日:2017年9月29日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク

概要


 謎の多いブラックホールの中でも、銀河の中心に潜んでいるとされる超巨大ブラックホールはその起源すらわからない謎にみちた天体です。大型望遠鏡を用いた観測によってその謎に迫る様子をお話しします。秋の夜長のひととき、ブラックホールの謎について考えてみましょう。

Q&A

Q. ブラックホールはどのような物質から出来ているのでしょうか?ブラックホールの中で物質はどのようになっているのでしょうか?宇宙の質量やエネルギーを支配していると言われる暗黒物質や暗黒エネルギーはブラックホールとどのような関係があるのでしょうか?

A. ブラックホールは私たちが普段目にしているのと同じ、原子で構成されるような物質が集まって出来たと考えられています。ただ、ブラックホールの中では密度が高いので原子のような構造は残っていません。暗黒物質はブラックホールに落ちることが難しい物質です。ブラックホールに物が落ちるには、物質がブラックホールの周りを円盤のようにぐるぐるとまわろうとする運動を重力以外の作用によって抑える必要があるのですが、暗黒物質は重力以外の相互作用をほとんど起こさないので落ちることが難しいです。暗黒エネルギーは宇宙空間を引き延ばす方向に働くので、ブラックホールの重力とは逆向きの役割を果たします。ただ、銀河を超えるような大きなスケールでのみその力が効くので、ブラックホールには影響がないと考えられます。

Q. ブラックホールは高い密度の天体ということですが、密度を計算するには質量のほかに体積が必要です。ブラックホールの体積とは何を指すのですか?ブラックホールに裏表はあるのでしょうか?

A. ブラックホールの体積としては、ブラックホールの周りの空間で光も抜け出ることのできない領域を指します。この領域の大きさはブラックホールの質量によって決まります。ブラックホールに裏表はありませんが、回転することが出来るので、回転する軸の方向という「向き」を持っています。

Q. 光は質量が無いのにブラックホールによって曲げられるのでしょうか?光が曲げられるとすると、観測したいと思う天体が考えていた場所と違うところに現れることはあるでしょうか?ブラックホールを直接見ることはできないのでしょうか?ブラックホールが近くに存在するとどのように見えるのでしょうか?

A. 一般相対論では質量のある物質の周りでは空間自体がゆがむと考えます。ブラックホールの周囲では空間が大きくゆがんでいるために、遠くにいる人から見ると光も曲がって進んでくるように見えます。宇宙に見られる「重力によるレンズ」という現象では、手前の銀河によって光が曲げられて、真後ろにあるもう一つの銀河からの光が隠されずに見える、ということが起こっています。ブラックホール自体は直接見えないので影のようになります。しかし、その背後からやってきた光が曲がって我々に届いていることを見れば、その存在が見えてくるかもしれません。

Q. ブラックホールの近くでは空間がゆがむのであれば、時間の流れる速さも変わるのか?

A. 時間の流れる早さも変わります。ブラックホールに近い人の時計ほどゆっくりと進むことになります。これによってブラックホールに近いところから出た光は周波数が小さくなって観測されることになります。

Q. ブラックホールからは光も抜け出すことが出来ないはずなのに、どうしてクェーサーのように輝くことが出来るのでしょうか?ブラックホールを探すのにX線や電波の放射を目印として探すということですが、そのX線や電波はどのようにして出てくるのでしょうか?

A. ブラックホールに物質が吸い込まれる際には、物質は円盤のようにぐるぐるとブラックホールの周りをまわりながらゆっくりと落ちていきます。この円盤の中では物質が高速で運動しており、高い温度になっています。これによって強い紫外線が出ることになります。さらにこの高速で運動する物質に紫外線が衝突することによって、光がより高いエネルギーのX線になることも起こっています。また磁場の中で物質が高速で運動することによって、電波も放射されます。

Q. ブラックホールに物質が吸い込まれる時に、なぜ円盤になってから吸い込まれるのでしょうか?なぜ銀河の中心まで落ちてきたガスはブラックホールの周りを回転することになるのでしょうか?

A. 物質がブラックホールに向かって落ち込んでくる時に、その方向が少しでもずれているとブラックホールの周りをまわる回転運動を起こす角運動量を持つことになります。この回転運動によって円盤が形成されることになります。このままでは地球が太陽の周りを回り続けるように回転運動を続けることになりますが、物質がたくさん集まった円盤の中で物質が角運動量を失うことによってじわじわとブラックホールに落ちていくと考えられています。

Q. ブラックホールは物質を吸い込むという話ですが、なぜジェットのような物質の吹き出しも起こっているのでしょうか?ジェットのような現象があるとブラックホールの質量は減らないのでしょうか?ブラックホールのように物質を吸い込む天体があるのなら、物質を放出する天体もあるのでしょうか?

A. ジェットはブラックホールの周りにある物質が落ち込む前に外の領域に吹き出していると考えられています。なので、ジェットによってブラックホールの質量が減るということはありません。ブラックホールとは逆に物質を放出する天体としてホワイトホールも数式上はあり得ますが、実際には観測されていません。

Q. ブラックホールが物質を吸い込むのであれば、最終的に宇宙にあるすべての物質はブラックホールに吸い込まれるのでしょうか?すべての星が最終的にブラックホールへ吸い込まれるということはないのでしょうか?ブラックホール同士が合体することはあるのでしょうか?

A. とても長い時間をかければ銀河にある星などの物質は最終的に超巨大ブラックホールに吸い込まれていく可能性はあります。一方で、宇宙全体で見ると暗黒エネルギーの働きで宇宙空間はどんどん引き伸ばされているので、吸い込まれずにそのまま漂い続ける物質も多く残ると考えられます。宇宙ではブラックホール同士が合体することも起こっています。ノーベル物理学賞となった重力波の検出はこのようなブラックホールの合体を捉えたものです。超巨大ブラックホールは小さいブラックホールも吸い込んで成長してきたと考えられています。

Q. ブラックホールはなくなることがあるのでしょうか? ブラックホールの最期はどのようなものなのでしょうか?130億年前の宇宙にある超巨大ブラックホールの話がありましたが、そのブラックホールはその後どうなったのでしょうか?

A. 小さいブラックホールは放射を出しながら蒸発して無くなると考えられていますが、超巨大ブラックホールではそのようなことは起こりません。130億年前の超巨大ブラックホールは現在の宇宙にある大質量の銀河の中心に残っていると考えられています。このようなブラックホールに物質が落ちてくるとクェーサーのように輝く可能性もあります。

Q. 大きな銀河には必ず超巨大ブラックホールがあるのでしょうか?クェーサーは必ず超巨大ブラックホールで起こっているのでしょうか?話に出てきた他の銀河のブラックホールの大きさに比べると天の川銀河のブラックホールはずいぶん小さいが、天の川銀河は小さい銀河なのでしょうか?なぜ天の川銀河にはクェーサーがないのか?太陽よりも小さいブラックホールは存在しないのでしょうか?

A. これまでの観測結果では大きな銀河には必ず超巨大ブラックホールがその中心にあることが示唆されています。小さい銀河でも超巨大ブラックホールを持つ銀河は見つかっていますが、大きい銀河で超巨大ブラックホールを持たない銀河は見つかっていません。クェーサーとして見られる天体から放射されるエネルギーはとても大きく、これだけ大きいエネルギーの放射を続けるには超巨大ブラックホールがその中心にいないと物理的に難しいです。天の川銀河は周りの銀河と比べると普通の大きさや重さです。話に出てきた他の銀河が目立って大きい銀河ということです。天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールはそれほど大きな質量ではないので、クェーサーほど明るく輝くことは無いと考えられます。

Q. 宇宙の最初の高密度の状態ではなぜブラックホールにならないのでしょうか?ブラックホールだとしたらなぜ膨張することができたのか?

A. 宇宙の最初の状態は高い密度とはいってもブラックホールになるほど高い密度ではありませんでした。ブラックホールが出来るためには高い密度からさらに収縮していくことが必要になります。宇宙はビッグバンから膨張して今の姿にたどり着きました。

Q. ブラックホールの研究は社会の何かに役立つのでしょうか?超巨大ブラックホールの研究と人類の将来とは何か関わりがあるのでしょうか?

A. ブラックホールは宇宙の中にある極限状態の一つで、極限状態で起こる物理現象の一つの実験場を与えてくれます。その意味で、ブラックホールの研究は宇宙を支配する物理原理の理解を深めることにつながっています。しかし、そこでしか起こらない現象でもあるので、人間の社会や人類の将来に直接影響することは無いと思います。ただ、新しい物理原理の知見は人類の将来と関わる可能性もあります。例えば一般相対論は携帯電話などのGPSで重要な役割を果たすことになりました。また、研究を行う上で必要となる新しい技術も身近なところに取り入れられる可能性があります。

Q. 天文学を学ぶための基礎知識はどのように学べば良いでしょうか?

A. 天文学については様々な一般書があるので、そこを入り口として興味を深めてもらえると良いと思います。天文学は物理や数学を基礎として成り立っていて、化学との結びつきもあります。このような幅広い分野の知識を元に、天文学に関わる教科書に進むと良いです。日本天文学会が出版している現代の天文学シリーズは最新の天文学の良い教科書の一つです。

当日の様子

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