2011年11月25日 第74回サイエンスカフェ
良い洪水と悪い洪水 ~カンボジアの便益とリスク~
講師:風間 聡 東北大学大学院工学研究科 教授
プロフィール
1990年東北大学工学部卒業、1995年同博士。筑波大学、タイ国アジア工科大学院(JICA専門家)、東北大学工学研究科、環境科学研究科を経て 2010年より現職。専門は、水資源工学、水文学(すいもんがく)。水の循環と社会とのかかわりを調べている。もともとは雪水を専門としたが、タイ国の仕事を経て、東南アジアの水問題も取り扱うようになった。
開催情報
開催日:2011年11月25日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク
概要
メコン河下流は、モンスーンの影響で毎年広い範囲に洪水氾濫が生じます。この洪水は、交通障害、感染症などの被害と、農業用水、水産資源などのめぐみをもたらします。現地の暮らしから洪水との共生を考えます。
Q&A
日本や他国からカンボジアへの支援はどのくらい行われているのか?
カンボジアのGNPに占める海外援助の割合は最近では10%程度です。2008年のODA総額は国家予算の約4割を占めると言われています。日本はここ数年では最大の援助国で援助全体の1割程度を占めています。
今回の津波に関して便益があるかないか教えてください。
何かしらの便益はあるかもしれませんが,被害額が膨大であり,便益は無視できると考えます。
日本では洪水に対するイメージはマイナスだと思う。どうしたらカンボジアのように洪水を「柳に風」的に受け流すことができるようになるのでしょうか?
日本も昔は受容した生活を送っていました。霞堤や水屋、舟屋などは伝統的な洪水に適応した施設です。遊水地や高床住居などを取り入れながら洪水を受け流すようにしている関東の都市もあります。
メコン河の洪水について、流量減→雨季・洪水に至るスパンはかなり長いのでしょうか?道に水が引くまでの期間に関しても同様に考えてよいのでしょうか?(洪水による氾濫水で水稲栽培ということなので、なかなか水が引かないのかと)
雨季と乾季は半年ごとにやってきます。10mの水位上昇も3カ月ほどかかります。地元の人は住居を移動させたり、舟に家を建てるなど工夫しています。
当日の様子