本文へ
ここから本文です

デッドエンドを回避する微生物の仕組みを発見

発表のポイント

  • 肉眼では見えない微生物が、地中や体内などの入り組んだ環境でどのように生き延びているのかは不明でした。
  • 繊毛を使って泳ぐ微生物は、デッドエンドで行き詰まることなく、泳ぎで巧みに回避して活路を見出していることを発見しました。
  • この成果は、微生物が入り組んだ環境で生き延びる仕組みを明らかにし、将来的には、感染症が広がっていくメカニズムの解明などに役立つと期待されます。

内容

 肉眼では見えないほど小さな微生物は、我々の身の回りに広く存在しています。我々の体内にも、1kg程度の微生物が棲みついていると言われています。こうした微生物が、地中や体内などの危険要因が多い入り組んだ環境において、どのように逃げて生き延びているのかは不明でした。

 石川拓司(東北大学大学院工学研究科 教授)と菊地謙次(同 准教授)は、繊毛と呼ばれる多数の毛のような器官を使って泳ぐ微生物が、行っては二度と戻れないデッドエンドで行き詰まることなく、泳ぎで巧みに回避することを発見しました。そして、実験と数値シミュレーションによる解析により、デッドエンドを回避する泳ぎは、繊毛を使って泳ぐ微生物が広く持ち合わせていることを明らかにしました。

 こうした微生物は、クジラなどが立ち往生してしまう浅瀬のような困難な環境下においても、逃げ道を見出して効率的に生き延びていると考えられます。この成果は、微生物が複雑な環境で生き延びる仕組みを明らかにし、将来的には、感染症が広がっていくメカニズムの解明などに役立つと期待されます。

 本成果は、2018年2月28日(英国時間)のProceedings of the Royal Society B誌(オンライン)に掲載されました。本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金の助成を受けて行われました。

論文情報
著者:Takuji Ishikawa and Kenji Kikuchi
題目:Biomechanics of Tetrahymena escaping from a dead end
雑誌:Proceedings of the Royal Society B, (2018) 20172368.
URL:http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1873/20172368外部サイトへ

図:左端のデッドエンドを避け、Uターンして逃げる微生物のイメージ

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 大学院工学研究科 ファインメカニクス専攻 教授
石川 拓司(いしかわ たくじ)
Phone:022-795-4009
Fax:022-795-6959
E-mail:ishikawa*pfsl.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室
馬場 博子
Phone:022-795-5898
E-mail:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ