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これまでで最も遠方の単独の星の観測

1.発表者:

  • 大栗 真宗(理学系研究科附属ビッグバン宇宙国際研究センター 助教/
      カブリ数物連携宇宙研究機構 准科学研究員)
  • 川俣 良太(理学系研究科天文学専攻 博士課程3年 )
  • 森下 貴弘(東北大学理学研究科天文学専攻 博士課程3年、
      現:宇宙望遠鏡科学研究所 博士研究員)

2.発表のポイント:

◆ 重力レンズと呼ばれる自然の増光現象を利用することで90億光年離れた単独の星「イカロス」の観測に成功した。

◆ 単独の星の観測の最遠方記録を大幅に更新したのみならず、ダークマター(注)の正体についても新たな手がかりを得た。

◆ 遠方の星や宇宙のダークマターを研究する新たな手法を開拓しその有用性を実証した。

(注)ダークマター (暗黒物質)

さまざまな宇宙の観測からその存在が示唆されているが正体は依然として不明の物質。最新の観測によると、宇宙のエネルギー組成において、私たちが認識する通常の物質の5倍以上をダークマターが占めると見積もられている。

3.発表概要:

遠方宇宙の研究は、数多くの星の集まりである銀河を観測することでおこなわれてきました。遠方の宇宙においては、個々の星からの光は極めて弱く、単独の星を観測することは不可能でした。東京大学の大栗真宗助教、川俣良太大学院生、および東北大学の森下貴弘大学院生 (論文投稿当時) が参加する国際共同研究チームは、重力レンズと呼ばれる増光現象を利用することで、90億光年離れた単独の星を観測することに成功しました。この「イカロス」と名付けられた星の発見は、単独の星の観測の最遠方記録を大幅に更新したのみならず、宇宙の質量の大半を担うダークマターの正体に関しても新たな手がかりを与えました。

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図:ハッブル宇宙望遠鏡により撮影されたイカロスの画像。左は銀河団MACS J1149+2223におけるイカロスの出現位置を示している。右はイカロス付近のハッブル宇宙望遠鏡画像の拡大図。 2011年(右上)には観測されていなかったイカロスが2016年(右下)の観測で出現していることがわかる。(credit: NASA/ESA/P. Kelly)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東京大学 大学院理学系研究科 付属ビッグバン宇宙国際研究センター 助教
東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 准科学研究員
大栗 真宗(おおぐり まさむね)
TEL:090-8945-0957
E-mail:masamune.oguri*ipmu.jp(*を@に置き換えてください)

宇宙望遠鏡科学研究所
博士研究員 森下 貴弘(もりした たかひろ)
E-mail:tmorishita*stsci.edu(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東京大学 大学院理学系研究科・理学部
特任専門職員 武田加奈子、学術支援職員 谷合純子、教授・広報室長 大越慎一
TEL:03-5841-0654
E-mail:kouhou*adm.s.u-tokyo.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学 大学院理学研究科
特任助教 高橋 亮(たかはし りょう)
TEL:022-795-5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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