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天の川銀河は50億年前に再生し、太陽も生まれた!
~2段階の星形成過程を理論的に解明~

【発表のポイント】

  1. 天の川銀河の星が異なるメカニズムによって2段階に分けて形成されたことがわかった。
  2. 定説では、天の川銀河は100億年以上の間ずっと同じように星を作ってきたと考えられていた。
  3. 天の川銀河になぜ元素組成の異なる2種類の星が存在するのか解明された。
  4. 隣のアンドロメダ銀河など他の銀河も同様に2段階に分けて形成された証拠があり、銀河の形成に関する考え方が大きく変わると期待される。

【概要】

東北大学大学院理学研究科の野口正史准教授は、「冷たい降着流」と呼ばれるガスの流入に着目して天の川銀河の進化をコンピュータで計算し、天の川銀河での星形成が2段階に分けて起こったことを明らかにしました。天の川銀河には元素組成の異なる2種類の星が存在しますが、その理由は不明でした。野口准教授の研究は、この謎をはじめて理論的に解明したものとして注目されます。

「冷たい降着流」とは、宇宙空間のガスが低温のまま銀河に流れ込む現象です。それに対して、一度高温になったガスが冷えるにつれ流入する過程は「冷却流」と呼ばれます。野口准教授によると、天の川銀河では最初に「冷たい降着流」によって星が作られ始めましたが、今から約70億年前に星形成は終了しました。これは衝撃波が発生してガスが高温になり流入が止まったためです。その後「冷却流」が発生し、約50億年前から第二段目の星形成が始まりました。太陽もこの時期に誕生しました。

天の川銀河には、元素組成の異なる2種類の星が存在しますが、その起源は不明でした。野口准教授の計算は、酸素やマグネシウムに富む星は「冷たい降着流」による第一段階の星形成で、鉄に富む星は「冷却流」による第二段階の星形成で誕生したことを明らかにしました。

隣のアンドロメダ銀河など他の渦巻銀河もこのように2段階に分けて形成された形跡があり、今後の研究によって銀河進化の考え方が大きく書き換えられると期待されます。

本研究の成果は、2018年7月26日号の英科学誌「Nature」(オンライン版 日本時間7月26日午前2時)に公開されました。

図1:野口准教授による天の川銀河の進化の想像図。最初に「冷たい降着流」によってα元素の豊富な星が形成された。続く星形成停止期にIa型超新星の爆発によってガス中の鉄の濃度が増えた。その後の「冷却流」によって鉄を豊富に含む星が作られた。下図のカラーマップはモデルで計算された太陽近傍における星の頻度分布を示す(Credit: M. Noguchi, Nature, July 26th 2018 issue)。等高線はAPOGEEによる太陽近傍の星の実際の分布を示す(Credit: M. Haywood et al. A&A, 589, 66 (2016), reproduced with permission © ESO)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
准教授 野口 正史(のぐち まさふみ)
電話:022-795-6507
E-mail:noguchi*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科
特任助教 高橋 亮(たかはし りょう)
電話:022−795−5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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