2018年 | プレスリリース・研究成果
中性子星合体からの光の偏りが起こる 新しいメカニズムを提唱
中性子星同士の連星が合体すると、金やプラチナなどの重元素が作られてキロノヴァと呼ばれる増光が起こります。高エネルギー加速器研究機構の久徳浩太郎助教、東北大学 大学院理学研究科の田中雅臣准教授、同じく学際科学フロンティア研究所の當真賢二准教授らの研究グループは、キロノヴァからの光の偏りの精密な数値シミュレーションを行いました。
その結果、2017年8月に観測されたキロノヴァAT 2017gfoの小さな光の偏りが、重元素からの光として自然に説明できることが明らかになりました。さらに、もしも非常に重い元素から軽い元素まで多様な重元素が作られていれば、今後新たなキロノヴァを別方向から見た場合に、より大きな光の偏りが検出されうることも明らかになりました。連星中性子星の合体で作られる重元素の種類を特定するために、光の偏りの観測が有力な道具となることが期待されます。
キロノヴァに伴う偏光の模式図。非常に重い重元素(赤)からの光は偏らない一方、比較的軽い重元素(青)からの光は偏りを持つが、全体が青いとその偏りも全方向で平均されて消えてしまう。軽い重元素からの光の一部だけが非常に重い重元素に隠されることで、隠され方に応じた光の偏りが観測可能になる。
【Credit: M. Bulla, https://astronomycommunity.nature.com/channels/1490-behind-the-paper/posts/39387-shedding-light-on-the-geometry-of-kilonovae】
問い合わせ先
理学研究科 天文学専攻
准教授 田中 雅臣(たなか まさおみ)
電話番号:022-795-6500
E-mail:masaomi.tanaka*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)