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微小な重力の測定を可能とする、小型低雑音重力センサーを開発 -重力の量子的な性質の実験的解明に期待-

【発表のポイント】

  • 従来の限界よりも3桁軽い100 mgの物体が生成する微小重力を1秒で測定可能な低雑音の重力センサーを実現
  • 重力波検出器(注1)の開発で発展した技術を応用することで従来の限界を打破
  • 重力の量子的な性質を明らかにする新たな研究分野の創成に期待

【概要】

東北大学学際科学フロンティア研究所(電気通信研究所兼任、JST戦略的創造研究推進事業さきがけ研究者兼任)の松本伸之助教、東京大学大学院理学系研究科の道村唯太助教、国立天文台重力波プロジェクト推進室の麻生洋一准教授、東北大学電気通信研究所の枝松圭一教授らの研究グループは、石英の細線で懸架された7 mgの鏡の振動を1秒の測定時間で10-14 m程度の分解能で読み取れる測定器を開発しました。これは、100 mgの物体が懸架鏡から数mm離れたところで振動したときの重力変化を捉えることができる性能です。

本研究は東北大学学際科学フロンティア研究所が主体となり、JST戦略的創造研究推進事業さきがけの支援を受けて実施されました。研究開発のうち、真空装置の開発を国立天文台グループと共同で、電気系の構築を東京大学と共同で行い、高性能懸架鏡の作製を東北大学電気通信研究所と共同で実施しました。本研究成果は、2019年2月20日午前1時(日本時間)にこの分野でのトップジャーナルのひとつである専門誌Physical Review Lettersに掲載されました。

【用語説明】

注 1)重力波検出器
一般相対性理論から導出される重力波(時空の変動が光速で伝搬する波)を検出するための装置。懸架された数十kgの鏡(振り子)の間の距離の変動をレーザー光で読み取る装置。2015年にアメリカの検出器LIGOが世界で初めて重力波の検出に成功し、2017年にノーベル賞を受賞しました。現在、日本の検出器KAGRAは2019年中の稼働を目指して開発が進んでいます。

図1 直径1 μmの石英の細線で懸架された質量7 mgの鏡(直径3 mm、 厚さ0.5 mm、 シグマ光機製)。右は懸架鏡を実体顕微鏡で撮影した写真。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学学際科学フロンティア研究所
新領域創成研究部 助教 
松本 伸之(まつもと のぶゆき)
Tel: 022-217-6398
E-mail: matsu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学学際科学フロンティア研究所
企画部URA
鈴木 一行(すずき かずゆき)
Tel: 022-795-4353
FAX:022-795-7810
E-mail:suzukik*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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