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歩いて予防:運動で心筋梗塞発症後の腎機能低下を防ぐ - 退院・リハビリ後の自主的な運動がカギに -

【発表のポイント】

  • 急性心筋梗塞注1を発症すると腎機能が低下しやすく、腎機能の低下は急性心筋梗塞患者の生存率の悪化につながる。
  • 急性心筋梗塞患者の腎機能を維持・改善する治療法の確立は非常に重要な課題である。
  • 急性心筋梗塞発症後の身体活動量を高く保つことが腎機能低下の抑制につながる。

【研究概要】

東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野の大学院生佐藤聡見(さとう としみ)と上月正博(こうづき まさひろ)教授らのグループは、急性心筋梗塞患者において、発症後の運動量(身体活動量)を高く保つことが腎機能低下の抑制につながることを明らかにしました。急性心筋梗塞等の虚血性心疾患を発症すると、腎機能が低下しやすいことが報告されています。さらに、急性心筋梗塞患者が腎機能障害を併存すると、その後の総死亡率や心血管に関連する死亡が増加することもわかっており、急性心筋梗塞患者の腎機能を維持・改善する治療法の確立は非常に重要な課題となっています。

今回、当研究グループは運動療法による腎機能の保護効果に着目し、心臓カテーテル治療および入院中の自転車こぎ運動あるいはトレッドミルを含む心臓リハビリテーションプログラム注2を実施した急性心筋梗塞患者において、発症後の身体活動量を高く保つことが腎機能低下の抑制につながることを明らかにしました。これにより、急性心筋梗塞発症後の身体活動量と腎機能の変化との関係性を科学的に実証するとともに、急性心筋梗塞患者の腎機能を保護するためには身体活動量管理が臨床的にも重要であることが明らかとなり、再発の予防や生存率の改善につながることが期待されます。

この研究成果は、2019年2月19日午後2 時(米国東部標準時、日本時間 2月20日午前4時)にPLOS ONE 誌(電子版)に掲載されました。

【用語説明】

注1.急性心筋梗塞:
心臓に酸素や栄養を送る動脈(冠動脈)が血栓形成等により閉塞し、心筋が壊死した状態。早期治療しないと致死率が非常に高い疾患であり、発症後は迅速な冠動脈の血行を回復させることの可否が救命率に影響する。冠動脈の血行を回復させるための治療は、カテーテルを用いた冠動脈の拡張治療や外科的な冠動脈バイパス手術が一般的。

注2.心臓リハビリテーション:
心疾患の患者が低下した体力や精神的な自信を回復して社会復帰、再発予防、生活の質改善などを図るため、運動療法、患者教育、生活指導、カウンセリングなどの包括的な活動プログラムに参加すること。本研究では、一般財団法人総合南東北病院(郡山市・福島県)において実施した。

図1.急性心筋梗塞発症後の身体活動量と腎機能変化との関係性

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
教授 上月 正博(こうづき まさひろ)
電話番号:022-717-7351
Eメール:kohzuki*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください。)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください。)

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