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力測定で明らかになった複数分子モーターによる協同的なメラニン色素輸送

【発表のポイント】

  • 細胞内力測定法は、林久美子准教授(東北大)らの研究グループにより開発された、メカノバイオロジー分野の新しい分子モーター観測手法である
  • 細胞内力測定法により、メラニン色素輸送に複数個の分子モーターが寄与していることを明確化

【概要】

 私たちの社会同様に、細胞の中にもタンパク質で構成された道路網があり、生命活動に必須の物質がドライバーである分子モーターによって運ばれています。ドライバー不足などで起こる物流の停滞は重大な社会問題ですが、同様に、分子モーターによる輸送の不具合は様々な病気と関連しているため、その機構解明は重要です。これまで、東北大学大学院工学研究科の林久美子准教授らのグループはメカノバイオロジー分野の新しい手法として、分子モーターの輸送力の測定法を開発してきました。力測定の結果、お神輿を大勢で運ぶように、1つの荷物を複数個の分子モーターが協同で運ぶことで大きな力を発生しているメカニズムを突き止めました。

私たちの皮膚や髪の毛の色の源であるメラニン色素は色素細胞内で生成されますが、分子モーターによって運ばれて皮膚や髪の毛の細胞に受け渡されます。今回、医療・美容分野で重要なメラニン色素輸送に着目し、細胞内力測定法を用いて、メラニン色素輸送においても複数個の分子モーターで協同輸送を行っていることを明らかにしました。また、分子モーターの機能阻害薬を細胞に添加した結果、メラニン色素輸送に携わる分子モーターの数量が低減することを計測、数値化することに成功しました。このことは、細胞内力測定法が分子モーターの不具合検出にも有用であり、将来、分子モーターの輸送力を評価する方法として、分子モーターが関連する様々な病気のメカニズム解明に貢献できる可能性を示しています。

この成果は2019年3月25日(日本時間19:00)にScientific Reportsのオンライン版で公開されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院工学研究科
准教授 林 久美子
電話番号:022-795-7955
E-mail:kumiko*camp.apph.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学工学研究科情報広報室
担当 馬場 博子
電話番号:022-795-5898
E-mail:eng-pr@grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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