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発熱か?解熱か? それが問題 インフルエンザウイルス感染時の解熱の必要性を証明

【発表のポイント】

  • インフルエンザウイルスに感染した際の高熱にはウイルスの増殖抑制と免疫機能活性化の役割がある反面、体調への悪影響が懸念されている。
  • インフルエンザウイルスに感染していない細胞(A)と感染した細胞(B)を平熱と高熱条件で培養した結果、高熱ではウイルス感染のない状態でも細胞(A)に傷害が生じること、高熱でも平熱と同様に、感染後に細胞(B)は傷害をうけることが明らかになった。
  • 子供や高齢者など、高熱によって体調が悪影響を受けやすい患者では解熱剤を使用する必要性が明確になった。

【研究概要】

東北大学大学院医学系研究科先進感染症予防学寄附講座の山谷睦雄(やまや むつお)教授、仙台医療センター・臨床研究部の西村秀一(にしむら ひでかず)ウイルスセンター長、東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野の永富良一(ながとみ りょういち)教授らの研究グループは、インフルエンザウイルスに感染した際の高熱に相当する高温(39℃、40℃)が細胞障害に与える影響を調べました。インフルエンザウイルス感染時の高熱はウイルスの増殖を抑える効果がある反面、熱性けいれんや脱水症を併発する危険があるなど体調への悪影響が懸念されています。呼吸器の細胞(気道上皮細胞)を培養し、ウイルスの複製と細胞の傷害性を検討した結果、ウイルス感染のない状態でも高温下で細胞傷害が生じること、細胞傷害に起因してインフルエンザウイルスの増殖が減少すること、インフルエンザウイルス感染後に平熱と同様の細胞傷害を生じることが明らかになりました。これらの結果は、とくに子供や高齢者などインフルエンザウイルス感染の際の高熱による体調への悪影響を受けやすい患者において、解熱の必要性を細胞レベルで示した重要な報告です。本研究によって、インフルエンザウイルス感染時の治療における、安全性の確立されている解熱剤の使用の必要性が明確になり、インフルエンザ患者の重症化を防ぐ治療の促進に貢献することが期待できます。

本研究成果は英国科学雑誌Heliyonに掲載されました。

図:インフルエンザウイルスに感染した細胞では40℃培養で3日後(72時間)には生存率が低下し、5日後(120時間)にはさらに低下した。感染していない細胞でも40℃培養で5日後には生存率が低下した。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科先進感染症予防学寄附講座
教授 山谷睦雄(やまや むつお)
電話番号:022-717-718
Eメール:myamaya*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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