本文へ
ここから本文です

座って測定、寝て測定:肺高血圧症の新規判別法を発見 呼気ガス分析を用いた簡便で非侵襲的な判別法

【発表のポイント】

  • 肺高血圧症とは心臓から肺に血液を送る血管が狭くなったり閉塞したりすることで肺動脈の血圧が高くなり、心臓や肺の機能障害をもたらす国の指定難病である。
  • 肺高血圧症のうち、肺動脈性肺高血圧症注1と慢性血栓塞栓性肺高血圧症注2は非常に似た症状を示すため判別が難しく、患者の負担が大きい検査が必要。
  • 本研究では、異なる姿勢における呼気ガス分析により、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症の判別を簡便かつ非侵襲的にできることを世界で初めて示した。

【研究概要】

東北大学大学院 医学系研究科 内部障害学分野の秋月三奈(あきづき みな)大学院生、上月正博(こうづき まさひろ)教授の研究グループは、循環器内科学分野の下川宏明(しもかわ ひろあき)教授、杉村宏一郎(すぎむら こういちろう) 講師らの研究グループと共同で、座った姿勢から寝た姿勢への姿勢変化と呼気ガス分析を組み合わせることにより、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症を判別が非侵襲的に可能であること世界で初めてを示しました。

本研究では、呼気ガス分析器注3を用いて、座った姿勢と仰向けになった姿勢で呼吸に含まれる酸素や二酸化炭素などのガスを分析することにより、肺高血圧症の有無や、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症の判別が可能であることを世界で初めて示しました。本研究での検査法は、患者への負担が少ない簡易な肺高血圧症の検査法となると期待されます。

本研究成果は、2019年7月1日に、Respirologyに掲載されました。本研究は、JSPS科研費 JP17K13047の助成を受けて行われました。

【用語説明】

注1.肺動脈性肺高血圧症 (pulmonary arterial hypertension; PAH):心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔が狭くなることで、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなり、肺高血圧症を示す疾患。

注2.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension; CTEPH):薬などでは溶けなくなった血のかたまり(血栓)により、広範囲の肺動脈が慢性的に狭くなったり閉塞したりすることで、肺高血圧症を示す疾患。

注3.呼気ガス分析装置:吐いた息に含まれる酸素や二酸化炭素の濃度、呼吸回数や量を継続的に測定し、呼吸の状態を評価する機械。

図1.呼気ガス分析を用いた肺高血圧症の簡便な判別法

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
教授 上月 正博(こうづき まさひろ)
電話番号:022-717-7351
Eメール:kohzuki*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ