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入れ歯の手入れを毎日しないと過去1年間の肺炎のリスクが1.3倍高かった 〜世界で初めての一般高齢者における研究〜

【研究のポイント】

  • 口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に有効であることは、入院患者及び介護施設入所者を対象に多くの研究で明らかにされている。しかし、地域在住高齢者においても口腔衛生状態を保つことが誤嚥性肺炎予防につながるかは明らかにされていなかった。
  • 本研究から要介護状態にない地域在住の高齢者においても、入れ歯の手入れを毎日はしない人は毎日手入れをする人に比べて、過去1年間に肺炎を発症した人が1.3倍多いことが明らかとなった。

【研究概要】

誤嚥性肺炎は高齢者の死因の上位を占めており、今まで誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアが入院患者や介護施設入所者に対して実施され、その有効性が確認されてきました。しかし、入院や施設入居をしていない、地域在住の高齢者における口腔衛生と肺炎の関連についての研究はありませんでした。要介護認定を受けていない高齢者でも誤嚥性肺炎のリスクはあるため、こうした研究は重要です。

本研究では、65歳以上の地域在住高齢者約7万人を対象に、入れ歯の清掃頻度が少ないことが過去1年間の肺炎の発症と関連するのかを明らかにしました。その結果、入れ歯を毎日は清掃しない人において、過去1年間の肺炎発症のリスクが1.30倍、75歳以上の人に限ると1.58倍高いということが明らかとなりました。入れ歯の清掃を毎日行うことによって、地域在住の高齢者においても肺炎の発症を予防できる可能性が示唆されました。

要介護状態にない人でも、入れ歯を使っている人は、手入れを毎日行うことが肺炎の予防につながる可能性があります。また定期的に歯科医院で、入れ歯の状態のチェックや、家庭でとれない歯石などの入れ歯の汚れを除去してもらうことも大切でしょう。

本研究成果は2019年9月24日に国際科学雑誌Scientific Reportsに電子版が掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
国際歯科保健学分野
准教授 相田 潤(あいだ じゅん)
電話:022-717-7639
E-mail:j-aida*umin.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
総務係
電話:022-717-8244
E-mail:den-syom*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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