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ダブルの効果:進行肺がんに有効な治療法 進行肺がんに対する分子標的薬と抗がん剤を組み合わせた新たな治療法を開発

【発表のポイント】

  • 日本人に比較的多く見られるEGFR遺伝子注1異常が原因となる進行肺がんに対して、分子標的薬注2ゲフィチニブと抗がん剤を併用した治療法が開発された。
  • 新たな併用治療法を受けた患者では、従来の標準治療法と比べて病態が悪化するまでの期間や生存期間が大幅に延長した。
  • 新たな治療法によって延命効果が期待され、重い副作用の増加はなく、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)にも変化がなかった。

【概要】

東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野の井上彰(いのうえ あきら)教授らのグループは、EGFR遺伝子に異常を持つ進行肺がんにおける新たな治療法の効果について報告しました。2010年に、井上教授らは進行肺がんにおける分子標的薬ゲフィチニブの有効性を報告しましたが、本研究はその治療法をさらに発展させたものであり、進行肺がんでありながら生存期間中央値が50カ月を超える結果が得られ、従来の治療成績(約30カ月)に比べて、治療効果が大幅に向上されました。本研究成果は、2019年11月4日(日本時間11月5日)Journal of Clinical Oncology誌(電子版)に掲載されました。

本研究は、厚生労働省科学研究費補助金の支援、および、認定NPO法人北東日本研究機構から公益事業としての支援を受けて行われました。

図1.従来の治療法と新規治療法の比較

【用語解説】

注1. EGFR遺伝子変異:肺がんの増殖に大きな影響を及ぼす遺伝子変異で、日本人の肺がんでは同変異を有する割合が約3割と比較的高い(欧米では約1割)。EGFR阻害剤と呼ばれる分子標的薬が高い効果を示す一方で、近年話題の免疫療法の効果は低いとされる。

注2. 分子標的薬:がんの発生や増殖に影響する特定の分子のみに作用する薬剤。正常な細胞にもダメージを与えることが多い従来型の抗がん剤治療に比べて副作用が軽く、効果は高いとされる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野
教授 井上 彰(いのうえ あきら)
電話番号:022-717-7366
Eメール:akira.inoue.b2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール: pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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