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ゴマの健康機能成分配糖体の生合成:最後の"missing piece"の同定

【概要】

工学研究科バイオ工学専攻応用生命化学講座の研究グループ(和氣駿之 助教ら)は、サントリーグローバルイノベーションセンター、サントリー生命科学財団生物有機科学研究所、南九州大学等との共同研究によって、ゴマの健康機能成分であるセサミノール注1)の配糖体注2)の生合成に関わる糖転移酵素遺伝子を同定し、多酵素複合体(メタボロン)注3)形成を介した同配糖体の生合成の仕組みを提案しました。生合成経路の最後の"missing piece"となっていた酵素遺伝子が同定されたことにより、ゴマ健康機能成分であるセサミノールの含量や種子中での貯蔵形態を制御するバイオテクノロジーの分子基盤が整ったといえます。この共同研究の成果は、12月2日に植物科学専門誌ザ・プラントジャーナルに掲載されました。

図1.ゴマ種子(左)と研究成果(右)

【用語解説】

注1)セサミノールとリグナン 
桂皮酸誘導体から導かれる植物特化代謝産物の一群で、C6-C3型の構造が二つ組み合わさった構造をもつものをリグナンという。リグナンは、ゴマなどいくつかの種子作物に豊富に含まれ、セサミンとセサミノールはゴマ特有のリグナンである。

注2)配糖体 
糖でない部分に糖が結合したものを配糖体という。

注3)多酵素複合体(メタボロン) 
生命現象は、生体内でおびただしい数の化学反応が起こることによって成り立っている。これらの化学反応はほとんどの場合、ある反応の生成物が次の反応の基質になり、その反応生成物がその次の反応の基質になるというように、連続した反応経路を形成している。こうした生体内の反応経路のことを代謝または代謝経路と呼ぶ。代謝経路を構成する反応の一つ一つはそれぞれ、反応加速作用をもつ「酵素」というタンパク質のはたらきによって円滑に進行し、反応が異なれば担当する酵素も異なる。40年ほど前から、代謝経路を構成する酵素群は細胞内ではお互いにゆるく結合しながら複合体を形成しているのではないかと推定されてきた。この酵素複合体のことをメタボロンという。メタボロンを形成することにより、例えば不安定な代謝中間体を速やかに次の酵素に受け渡せたり、有毒な代謝中間体を細胞内に拡散させることなく即座に次の酵素反応に提供することができたりするなど、代謝を進める上で様々な利点があると考えられている。

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究内容に関して)
東北大学大学院工学研究科 バイオ工学専攻 教授 中山 亨
E-mail: toru.nakayama.e5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関して)
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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