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ディープ・ラーニングを用いた乳房エコー画像の自動判別は、 正確で低負担な乳がん診断に有用である

【発表のポイント】

  • 乳がんの検診において、被検者の乳房組織が密な場合には、マンモグラフィーに加えて乳房エコー検査(乳腺超音波検査)が行われる
  • しかしながら、乳房エコー検査では客観的な診断が難しい
  • ディープ・ラーニング注1を用いて乳房エコー画像内の腫瘤注2を識別する診断支援システムを開発した

【概要】

乳がんの診断にはマンモグラフィーが用いられることが一般的ですが、乳房組織が密な女性の場合は精度が不十分で、その際には乳房エコー検査による診断が用いられます。しかし、エコー画像から患部画像を読み取る方法は、技師や医師の主観や経験に依存しがちな点や、偽陽性率(良性腫瘤を悪性と診断する割合)の高さから、乳房に針を刺して組織や細胞を採取する生体検査が追加されることが多く、患者の精神的・肉体的負担が増加する点が課題となっています。今回、東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野の山口 拓洋(やまぐち たくひろ)教授らの研究グループは、SAS Institute Japan株式会社の「SAS® Viya®」を利用し、人工知能の核となるディープ・ラーニングを用いて乳房エコー画像内の腫瘤を識別する診断支援システムを開発しました。このシステムによって、医師や患者の負担を軽減するだけでなく、医療費の削減にもつながることが期待されます。

本研究の成果は、2019年12月5日に国際科学誌Physics in Medicine & Biologyにて発表されました。

図1.乳房エコー画像とディープ・ラーニングによる患部の検出
(a) 乳房エコー画像. (b) 方法1、(c)方法2による患部の検出

【用語解説】

注1.ディープ・ラーニング:ニューラル・ネットワークと呼ばれる数理モデルの一種で、対象を識別するために必要な法則やルールなどを、機械自らが学習することができる。

注2.腫瘤:乳房内に見られるしこりで、良性のしこりの場合もあれば、悪性のしこりの場合もある。マンモグラフィー検査や乳房エコー検査で検出される

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野
教授 山口 拓洋(やまぐち たくひろ)
電話番号:022-717-7659
E メール:biostat.info*gmail.com(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX 番号:022-717-8187
E メール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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