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世界初:高安動脈炎の病因となるタンパク質を同定 -血管の炎症を持続させる自己抗体の存在が明らかに-

【発表のポイント】

  • 国の指定難病である高安(たかやす)動脈炎において、自己免疫注1の標的となる主要な2つのタンパク質を同定した。
  • 標的となるタンパク質は血管の炎症を収める役目があり、自己抗体注2はその機能を阻害することで炎症を持続させることを明らかにした。
  • 高安動脈炎に合併する潰瘍性大腸炎においても同じ自己抗体が認められたことから、両疾患の関連や病態の解明の発展に寄与する事が期待される。

【概要】

高安動脈炎は、大動脈を含む大きな血管に炎症(血管炎)が生じ、血管が狭くなったり詰まったりして血流が悪くなる原因不明の疾患です。何らかの原因で活性化された免疫応答が自身の血管の細胞を攻撃してしまう自己免疫により血管炎が持続すると考えられています。

東北大学病院血液免疫科の白井剛志(しらいつよし)院内講師、東北大学大学院医学系研究科血液・免疫病学分野の藤井博司(ふじいひろし)准教授、張替秀郎(はりがえひでお)教授らのグループは、高安動脈炎における自己免疫の標的となる主要な2つのタンパク質を明らかにしました。高安動脈炎では、これらのタンパク質に対する自己抗体が産生され、血管の炎症を持続させていることが分かりました。さらに、自己抗体の1つが高安動脈炎に合併して起こる潰瘍性大腸炎においても認められました。

本研究によって、高安動脈炎の病態の解明や臨床検査への応用、治療法の開発の発展に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2020年3月9日午前10時(現地時間、日本時間3月9日午後7時)Nature Communications誌(電子版)に掲載されました。

図1.高安動脈炎の血管炎の部位による症状の違い

【用語解説】

注1. 自己免疫:本来、外来からの異物を認識し排除するための役割を持つ免疫が、自分自身の細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうこと。

注2. 自己抗体:自己のタンパク質に対する抗体。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院 血液免疫科
院内講師 白井 剛志(しらい つよし)
電話番号:022-717-7165
Eメール:tsuyoshirajp*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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