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宮城県内の仮設住宅の入居者の健康状態の推移を明らかに:国内で初めての災害公営住宅も含めた長期研究

【研究のポイント】

  • 東北大学は宮城県と協力し、被災者支援の一環として、震災後から仮設住宅入居者の健康状態の調査を継続してきました。また、災害公営住宅への転居後も調査を続けており、このたび、健康状態の推移を明らかにしました。
  • 全体として健康状態の悪い者の割合は減少傾向にありますが、高齢者が多く住む災害公営住宅では主観的健康感の悪い者が多く、入居者が社会参加を通じた健康状態の維持・増進ができるコミュニティづくりを引き続き進めていく必要があります。

【研究概要】

東日本大震災で家を失った方の多くが応急仮設住宅(みなし仮設およびプレハブ仮設)に入居されました。その後、長期的な住まいとして、自治体は低廉な災害公営住宅を提供し、多くの方が仮設住宅より転居しました。宮城県では仮設住宅及び災害公営住宅の入居者を対象に震災後から健康調査を実施してきました。本研究では、東日本大震災後の応急仮設住宅及び災害公営住宅の入居者の長期的な健康状態の推移を明らかにしました。調査期間はみなし仮設住宅:2011~2017年度、プレハブ仮設:2012~2017年度、災害公営住宅:2015~2017年度でした。これらの期間において主観的健康感が各年度・各住居でどのように変化していったのかを性別と年齢を調整して明らかにしました。

統計解析の結果、調査対象者全体では調査年度が進むにつれて主観的健康感の悪い人の割合に減少傾向が見られました。住居別ではみなし仮設住宅入居者に比べて災害公営住宅入居者では、主観的健康感の悪い人が多いことも明らかになりました。 本研究結果より、全体として主観的健康感の悪い者の割合は減少傾向にありますが、高齢者が多く住む災害公営住宅では主観的健康感の悪い者が多く、自治体やコミュニティを中心とした見守り体制の構築や、入居者が社会参加を通じて健康状態を維持・増進できるようなコミュニティづくりを引き続き進めていく必要があると言えます。

本研究成果は2020年1月に日本公衆衛生学会雑誌第67巻1号に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
国際歯科保健学分野
准教授 相田 潤(あいだ じゅん)
電話:022-717-7639
E-mail:j-aida*umin.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 広報室
電話:022-717-8260
E-mail:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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