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積層ナノ磁性体における磁気振動の増幅効果の発見 -AI技術開発に「ブランコの数理」が示す新しい視点-

【発表のポイント】

  • AIハードウエアの要素となる磁気素子の開発に新しい視点を与える成果
  • 積層ナノ磁性体の磁気振動の増幅効果を独自の光計測技術で発見
  • ブランコを漕ぐ運動と等価の数理が内在していることの証明が鍵

【概要】

東北大学材料科学高等研究所の水上成美教授は、同大学院工学研究科の上牧瑛博士後期学生らとともに積層ナノ磁性体に、特異な磁気振動の増幅現象を発見しました。AIハードウエアの要素となる磁気素子の開発に新しい視点を与える成果です。本研究は、同研究所の義永那津人准教授、兼産業技術総合研究所 産総研・東北大 数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ 副ラボ長と共同で行われました。

磁気の振動や波を情報の担体とするAIハードウエアの研究が世界的に進展しており、ナノメートルスケールかつ高エネルギー効率で磁気の振動や波動を増幅・発振する素子の開発は重要な課題の一つです。本研究グループでは、金属ナノ薄膜をナノ薄膜磁石で挟み込んだ積層ナノ磁性体の磁気の振動を研究し、二つの固有の磁気振動が、ブランコを「漕ぐ」時に働く係数励振の数理に支配されており、磁気の摩擦力を越えて増幅や発振が可能であることを示しました。また、磁気の振動の増幅過程を独自の光計測技術で観測することに成功しました。この原理はAIハードウエアの要素となるナノ磁気素子の開発に新しい視点を与えるものです。

本研究の内容は4月14日(米国時間)に、米国物理学会の学術誌「Physical Review Applied」の電子版に掲載されました。

図1 積層ナノ磁性体と磁気の振動の概念図。(a) 本研究で研究した積層ナノ磁性体。ホウ化コバルト鉄(磁性体)の厚みは3ナノメートル、ルテニウム金属の厚みは0.4ナノメートル。(b) 同じ方向に磁気が振動する様式、(c) 逆方向に磁気が振動する様式。各々専門的には音響モード、光学モードという。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 材料科学高等研究所
水上 成美(ミズカミ シゲミ)
Tel: 022-217-6003
E-mail: shigemi.mizukami.a7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学 材料科学高等研究所 広報戦略室
Tel: 022-217-6146
E-mail: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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