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視野安定の謎に迫る よく見えるほど動きがわからない視覚の機能

【発表のポイント】

  • 視線を動かすたびに網膜に映る像は大きく変化しますが、私たちはその変化を感じることなく世界は止まって見えます。
  • 視線が移動する前と後で、見ているものが少し動いたときそれに気づかない「位置変化に対するサッカード抑制」と呼ばれる現象*を調べることにより、この謎に迫ることができます。
  • はっきり見える刺激に対して、より大きなサッカード抑制が生じるとの発見は、視野安定を実現のために脳が行う情報処理の理解を大きく進めることになります。

*参考動画:https://www.youtube.com/playlist?list=PL92PCV33qqw_vwHPitH1nqPbQu6j8AeVR外部サイトへ

【概要】

私たちは視線移動に伴う網膜像変化を感じることなく、静止した世界を見ています。これは視野安定の問題と言われ、視覚科学の長年の謎の一つです。東北大学電気通信研究所の塩入諭教授の研究グループは、視野安定をもたらす脳の情報処理機構について新たな事実を発見しました。視線移動の前後の視覚像の位置変化が見にくくなる現象、サッカード抑制が、視野安定の謎に迫る鍵になります(図1)。東北大学の研究グループは、見やすい視覚刺激ほど動きが見にくいという逆説的な結果を発見し、視野安定のための脳の情報処理の重要な特徴を明らかにしました。

今回発表の論文は2020年6月9日10時(英国時間)、オープンアクセス科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

図1 視野安定(左)と視線移動中の動きに対する感度計測実験(右)。視線移動に伴う網膜像変化時の視野安定には、動きに対する抑制効果(サッカード抑制)が関連している。視線移動中に視覚刺激を移動することで、サッカード抑制を計測した結果、刺激強度が高い(よく見える)ほど、動きが見にくい(感度が低い)ことを明らかにした(右)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学電気通信研究所 教授 塩入 諭
TEL:022-217-5468
E-mail:shioiri*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学電気通信研究所 総務係
TEL:022-217-5420
E-mail:somu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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