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病原菌・ウイルスが皮膚を介して感染するリスクに警鐘 ~マスクや衣服の擦れによる皮膚の脆弱化メカニズムを解明~

【発表のポイント】

  • 皮膚角質層への摩擦刺激によって皮膚バリア機能の脆弱化が亢進。
  • 角化細胞のひずみの蓄積が脆弱性を亢進することを力学的解析によって解明。
  • 薬剤経皮吸収や皮膚からの病原菌・ウイルス感染のメカニズム解明に大きく貢献。

【概要】

皮膚には皮膚内の水分の蒸発を防ぐ機能があると同時に、外部からの薬剤や細菌、ウイルスの浸透を防ぐバリア機能もあります。摩擦刺激を受けた皮膚では、バリア機能の喪失(脆弱化)が生じることが知られていましたが、その仕組みは明らかにされていませんでした。東北大学大学院工学研究科菊地謙次准教授、石川拓司教授らのグループは、皮膚表面に摩擦刺激を与えると皮膚最上層にある角質層の角化細胞(注1)に微小なひずみが生じることを発見し、摩擦刺激による皮膚の脆弱化メカニズムを力学的解析(注2)を用いて明らかにしました。

新型コロナウイルスの感染防止のため、マスクの着用が日常化している昨今ですが、本研究で明らかになった仕組みにより皮膚への摩擦刺激のコントロールが可能になれば、長時間のマスク着用等で摩擦刺激を受け、バリア機能が失われた皮膚からの様々なウイルス感染を抑止する新たな感染防止策として貢献することが期待されます。

本研究成果は、2020年7月31日付で学術誌「International Journal of Pharmaceutics」にオンライン掲載されました。

【用語解説】

注1. 角化細胞:皮膚を構成する主な細胞。ケラチノサイト。

注2. 力学的解析:機械工学・材料力学・熱力学・流体力学(機械4力学)などの力学を基軸とし、運動や変形、流動や拡散などを物理的に理解し、解析を行うこと。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科ファインメカニクス専攻
東北大学ディスティングイッシュトリサーチャー
准教授 菊地 謙次 (医工学研究科兼任)
TEL:022-795-5029
FAX:022-795-6959
Email:kenji*bfsl.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室 担当 沼澤 みどり
TEL:022-795-5898
Email:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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