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硫化スズ単結晶の大型化に成功! ~環境に優しい太陽電池の実用化への突破口~

【発表のポイント】

  • 次世代太陽電池開発の突破口となるn型硫化スズ単結晶の大型化に成功
  • n型伝導をもたらすハロゲン成分が結晶の大型化にも寄与することを発見
  • pnホモ接合注1による硫化スズ太陽電池の変換効率の大幅アップに期待

【概要】

希少金属や有毒元素を一切含まない硫化スズは環境に優しい次世代太陽電池材料として有望です。東北大学多元物質科学研究所の川西咲子助教、鈴木一誓助教らのグループは、高効率な太陽電池の実現への突破口となる硫化スズ結晶の大型化に成功しました。

硫化スズ太陽電池を高効率化するためには、p型とn型の硫化スズを組み合わせたpnホモ接合を作る事がポイントです。しかし、容易に作製可能なp型に対し、n型硫化スズの作製は困難なため、pnホモ接合の試作には至っていません。

研究グループは、この問題を解決するため、硫化スズ単結晶を育成する「フラックス法注2」に用いる原料組成を大幅に改良しました。その結果、幅24mmにまでn型の硫化スズ単結晶を大型化することに成功しました。

本研究成果は、2020年8月21日(金)公開のCrystal Growth & Design誌に掲載されました。

図1 育成した硫化スズ単結晶。フラックスにハロゲンを加えない場合(左)と比べ、ハロゲンの添加により大幅な結晶サイズの増加に成功(中: 塩素添加、右: 臭素添加)。

【用語解説】

注1.pnホモ接合: 同一の半導体材料のp型層とn型層との接合。この接合領域に太陽光等の大きなエネルギーの光が照射されると、光電効果により発電する。異種の半導体材料のpn接合のことを、pnヘテロ接合と言う。

注2.フラックス法: 結晶を育成する手法の一つで、物質を融解しやすくするフラックス(融材)から結晶を成長させる方法。融点よりも低い温度の高温溶液から結晶を育成するため簡便な装置で結晶を得ることができ、フラックスの組成に応じて成長する結晶の性質も変化する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
助教 川西咲子
電話:022-217-5155
E-mail:s-kawa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
電話:022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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