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熱伝導を電気で制御する新手法を開発 ~熱流を自在に制御して、次世代の熱マネジメントへ~

【発表のポイント】

  • 電子機器の排熱やその再利用に向けて熱流の自在な制御が求められている
  • スピン熱伝導物質を用いた熱伝導の新しい制御法を提案し実証した
  • アクティブな排熱や蓄熱、調温デバイスなどへの応用が期待される

【概要】

私たちの身の回りには様々な形態のエネルギーが存在しますが、その大部分は最終的には熱に姿を変えます。その熱が蓄積すると、小型・集積化が進む電子機器の劣化や故障の原因になります。熱流の量や方向を自在に制御できれば、機器の信頼性やパフォーマンスを向上させられるうえ、エネルギー源としての熱の再利用も可能になります。

東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻藤原研究室の寺門信明助教(兼JSTさきがけ研究者)らの研究グループは、スピン熱伝導物質*1)であるマグノン*2)と呼ばれる特殊な粒を用いた熱流の新しい制御法を提案しその実証に成功しました(図1)。熱分布に応じて変化するアクティブな排熱や蓄熱、超精密温度制御が可能な調温デバイスなど次世代の熱マネジメント技術への応用が期待されます。

本研究成果は、英国オンライン科学誌「Scientific Reports」に令和2年9月2日に掲載されました。

図1.スピン熱伝導の電気的制御(模式図)。試料に電圧を加えることによってスピン熱伝導物質の熱キャリアであるマグノンの移動が阻害され、複合領域の熱伝導を抑制することができる。

【用語解説】

*1 スピン熱伝導物質:電子スピン*3)由来の熱伝導を示す物質。マグノンなどが熱キャリアとして働く。La5Ca9Cu24O41やSrCuO2などは室温においても金属に匹敵する高い熱伝導率と異方性を示す。

*2 マグノン:電子スピンを小さな棒磁石とすると、それを半回転させた状態。粒子として扱われ、電子スピンの配列上を動く。

*3 電子スピン:電子が持つ、自転に相当する角運動量。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関して>
寺門 信明(テラカド ノブアキ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 助教
電話:022-795-7965 
E-mail: terakado*laser.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

藤原 巧(フジワラ タクミ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授
電話:022-795-7964 
E-mail: fujiwara*laser.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関して>
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤 みどり
電話:022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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