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ゲノム・オミックス解析情報の公開データベース jMorpを大幅拡充 ~日本人の主な変異を網羅、メタボローム解析情報も~

【発表のポイント】

  • 疾患の比較対照として有効な公開データベース日本人多層オミックス参照パネル(jMorp:Japanese Multi Omics Reference Panel)の収載データを大幅に拡充しました。
  • 8.3千人の全ゲノム解析データをもとに全ゲノムリファレンスパネル*1 8.3KJPNを公開しました。8.3KJPNは、日本人のもつ0.01%以上の頻度の変異をほぼ網羅しました。
  • 3セットのゲノム配列を統合することで構築した日本人基準ゲノム配列*2を、6セットに拡張することで、より日本人集団の遺伝的多様性を代表し、基準としての精度を格段に向上させた日本人基準ゲノム配列JG2を公開しました。
  • jMorpのメタボローム解析*3対象者数を1.5万人から約2.5万人に拡張するとともに、対象代謝物の種類を大幅に拡張しました。

【概要】

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、jMorpの全ゲノム解析データを8.3千人に、メタボローム解析データを2.5万人にそれぞれ大幅拡充すると共に、日本人基準ゲノム配列を再構築しJG2として公開しました。個別化医療・個別化予防の実現に向けた、疾患の原因や治療法の発見への貢献が期待されます。

東北メディカル・メガバンク計画(【参考】を参照)では、当初より8千人の全ゲノム解析を目指してきましたが、今回目標を超える人数の全ゲノムリファレンスパネルを構築したことで、日本人のゲノムデータを有するデータベースとして一番網羅性の高いゲノム情報となりました。

約2.5万人分のメタボローム情報は世界で最大級の収載数となり、また最新の解析手法による新規代謝物の定量値データのリファレンスパネル*4の公開は世界初です。

日本人基準ゲノム配列を3セットから6セットのゲノム配列にし、精度を格段に向上させてJG2として公開しました。

全国の研究者がjMorpのデータを用いることにより、疾患の原因や予防法、バイオマーカー*5の発見が期待されます。本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による東北メディカル・メガバンク計画のもと東北大学東北メディカル・メガバンク機構によって行われています。

【参考】

<東北メディカル・メガバンク計画について>
 東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの復興と、個別化予防・医療の実現を目指しています。ToMMoとIMMを実施機関として、東日本大震災被災地の医療の創造的復興および被災者の健康増進に役立てるために、平成25年より合計15万人規模の地域住民コホート調査および三世代コホート調査等を実施して、試料・情報を収集したバイオバンク*22を整備しています。東北メディカル・メガバンク計画は、平成27年度より、AMEDが本計画の研究支援担当機関の役割を果たしています。

【用語解説】

*1 全ゲノムリファレンスパネル:東北メディカル・メガバンク計画で実施された、日本人の一般住民数千人の全ゲノム次世代シークエンシング解読により、検出されたゲノムDNAバリアントから構築された日本人ゲノム配列のパネル。

*2 基準ゲノム配列:次世代シークエンシング解析(ヒトゲノム解析でもっともよく利用されている手法)を行う際、ひな型となるゲノム配列。次世代シークエンシング解析ではリードと呼ばれる小さな単位で大量に配列解読を行い、リードを基準ゲノム配列に当てはめて検体の元のゲノム配列を推定する。そのため基準ゲノム配列の品質がゲノム解析の精度を左右する。ToMMoでは2019年2月に「日本人基準ゲノム配列」初版JG1を発表している。

*3 メタボローム解析:生体内に含まれる代謝物(メタボライト)の網羅的な解析。

*4 リファレンスパネル:ここでは疾患など健常時と異なる状態に対して、比較対照可能な参照用のデータ群を指す。

*5 バイオマーカー:疾患の発症や進行を反映する生体内分子。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
生命情報システム科学分野 教授 木下賢吾
電話番号:022- 274-5952
生体分子解析分野 教授 小柴生造
電話番号:022-274-6016
ゲノム遺伝統計学分野 教授 田宮元
電話番号:022-274-5996

(報道に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファクス:022-717-7923
Eメール:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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