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プラスチック表面への多孔質材料コーティングに成功 交互に浸すだけの簡便な方法で金属有機構造体薄膜を作製

【発表のポイント】

  • アクリル樹脂など汎用高分子材料の表面に金属有機構造体(MOF)の薄膜を成長させることに成功
  • 室温・大気下で二種類の溶液に交互に基板を浸す、極めて簡易な方法でMOF薄膜が作製可能
  • MOFを薄膜として得たことによって電子素子への応用展開が可能になる
  • 多孔性を活かした機能材料開発への波及効果が期待される

【概要】

規則正しいナノサイズの空孔を持つ材料である金属有機構造体(注1)(以下、MOF)は、空孔への物質の吸脱着など、その「多孔性」に特徴があります。しかし、MOFの一般的な作製手法によって粉末試料を得ることはできますが、これを薄い膜として作製することは困難でした。今回、東北大学の大原浩明氏(研究当時:博士課程後期学生)、山本俊介助教、三ツ石方也教授らの研究グループは、岩手大学、(公財)高輝度光科学研究センターと共同で、アクリル樹脂などの高分子材料の表面にMOFの薄膜を簡便に作製する手法の開発に成功しました。この手法は大がかりな製造装置が不要で、基材となる高分子の板を二種類のMOF原料溶液に交互に浸すだけという、極めてシンプルなものです。本研究の成果は、多孔性を活かした機能材料開発の応用研究につながることが期待されます。

本成果は2020年11月2日(米国時間)に米国化学会発行の科学誌「ACS Applied Materials & Interfaces」でオンライン公開されました。

図1 今回の研究で提案したMOF薄膜作製法を示すイメージ図。

【用語解説】

注1)金属有機構造体(MOF)
多孔性配位高分子(PCP)とも呼ばれる、金属イオンと有機分子が規則的に結合し、組みあがった物質。内部に細孔を持っており、①細孔が非常に高い規則性を持つ点と②細孔構造を自在に設計できる点が特徴。わずか1グラムのMOFの中にサッカーのコート1面分に匹敵する大きな表面積(6000m2)を有するものもある。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科 バイオ工学専攻 機能高分子化学分野
担当:山本 俊介 助教
電話:022-795-7229
E-mail:syama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当:沼澤 みどり
電話:022-795-5898
E-mail:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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